レイバンをかけていなければ、僕らはもっと恐ろしい形相を拝まなければならなかったはずだ。
サイドラインに立つ、その男には、誰にも、一ミリのミスも許さない厳格なコーチのイメージしか持てなかった。
だから、彼が、このリーグで、NFLでTEというポジションを確立した草分けだと知ったのは、ずいぶん後のことだ。
そして、彼がTEとして、いまだに破られていない記録を保持していることも…
Remembering Mike Ditka | Chicago Bears
1961 NFL ルーキーTE記録
1961年、マイク・ディトカはルーキーのTEとしてふたつの記録を樹立した。
ひとつは、1, 076ヤードのシーズン最多レシーブ獲得ヤード記録。
こちらは、すでに更新されてしまったが、それも2024にブロック・バウアーズがようやく更新するまで、長いこと乗り越えられない壁だった。
そして、ふたつ目のルーキーTE最多タッチダウン数(12TD)については、まだ誰も乗り越えることができない。
あのロブ・グロンコウスキーとサム・ラポルタの10TDが精一杯。
TEとして最初の殿堂入りを果たした彼は、NFL100年のベストメンバーにも当然ながら選出されている。
まあ、そりゃそうだ。
TEというポジションは、彼が確立したのだから。

そんな彼はNFL100年の偉大なゲームチェンジャーの一人として挙げられている。

Tight End – Head Coach
MIKE DITKA“The tight end position is so much more recognized today then it was back then.” – Mike Ditka
NFL百年の走馬燈(5)100年のベストメンバー「TE編 永遠のプロトタイプ」 – ALOG
LBのスピードでは振り切られ、DBのサイズでは弾き飛ばされる。
そんな選手の出現に、当時のDC達は、打つ手が見つからなかったことだろう。

PHOTOS: Remembering Mike Ditka
’85 Bears

1985 CHICAGO BEARS
“The ’85 Bears were a breath of fresh air to Chicago.” – Kevin Cronin
マイク・ディトカが率いた1985年のシカゴ・ベアーズは、NFL100年の歴史で史上2位にランキングされている。
スーパーボウルの初制覇とあわせて、シーズン中、なんと一敗しかしていないのだ。
もし、この一敗がなければ史上1位になっていたのかもしれない。
そして、この唯一の敗戦相手がマイアミ・ドルフィンズであるというのも興味深い。
なぜなら、NFL100年の歴史で史上第1位にランキングされているのは、1972年のマイアミ・ドルフィンズ。

1972 MIAMI DOLPHINS
“Perfection is perfection. Close? – Get a cigar. There’s only one team that drinks the champagne.” – Larry Csonka
彼らが史上1位である理由はシンプルだ。
それは、シーズン中、一敗もせずにスーパーボウル・チャンピオンにまで駆け上がったからだ。
1972年のメンバーは、毎年のシーズン終了時にパーフェクトシーズンを達成するチームが生まれてこなければ、それをシャンパンと葉巻でお祝いするらしい。
1985年には、直系の後輩達が、その格別なシャンパンと葉巻の味と香りを守ってくれたということだ。

NFL 2022 第7週はマイアミ・ドルフィンズのパーフェクトシーズン50周年記念試合 – ALOG
ICON マイク

Tight End – Head Coach
MIKE DITKA“He’s one of the greatest Halloween costumes.” – Pete Wentz
NFL百年の走馬燈(5)100年のベストメンバー「TE編 永遠のプロトタイプ」 – ALOG
アイアン・マイクというニックネームがぴったりな彼は、まさしくアイコンになった。
NFL100年のキャラクターランキングにもランクインした彼は、そのままハロウィンのコスチュームだなんていじられている。
そうして、サイドラインを離れた彼は、すっかり好々爺というやわらかさを放つようになっていた。
だが、彼がお悔やみのコメントをする姿を見て、僕は一気にフラッシュバックした。
コメントしていたのは、あのジム・ハーボーだ。

ミシガン大学から1巡全体27指名と、鳴り物入りでNFL入りしたQBだった。
だが、彼が直立不動で、アイアン・マイクから叱咤激励を受けている姿が目に焼きついている。
歴史的にQBポジションに恵まれないシカゴ・ベアーズにあって、彼自身もソリューションになることはできなかった。
だが、ミシガン大学にナショナル・タイトルをもたらす、立派なコーチに成長を遂げた。
彼が畏敬を持って話すコーチの姿は、あの頃のアイアン・マイクそのままだ。
National Tight Ends Day
奇しくも2週間後の10月25日には、National Tight Ends Day が開催される。
この日は盛大に、我らがTEにはじまりをもたらした者に哀悼の意を表しよう。
それこそ、ジャッキー・ロビンソン・デーみたいに、全チームのTEは全員、#89のジャージを着用ってことでいいんじゃない?
2週間じゃ、髭はおっつかないけれど、ジャージだったら間に合うんじゃない?
