「踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!」レビュー:ひとつの救い

観るべきか、観ないでおくか、ずっと迷っていた「踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!」。
何か希望を見出せるかもしれないと、意を決して映画館に飛び込んでみた。

そうして、希望を見出すことはできなかった、やっぱり。
ただ、ひとつだけ、救いがあった。

警視庁刑事部捜査第一課長 北丘雲斗

インプレッシブだったのが、今回、名前が初登場となる佐々木蔵之介が演じる北丘雲斗だ。
なぜ、名前が初登場という表現をしているかといえば、あの、レインボーブリッジを封鎖することができなかった捜査本部に、末端の捜査員として参加していたからだ。

実は、佐々木は邦画実写興行収入日本一の記録を22年間守った映画第2作『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003)に、「捜査員4」という役で出演していた。

『踊る大捜査線』佐々木蔵之介、23年前から“大出世” 同期だからこそ生み出せた青島&北丘の会話シーン|シネマトゥデイ

これまでの踊るのシリーズの中で、青島の同期が登場したことはない。
上か下かばっかりだ。

そうして、この同期の北丘雲斗が、この作品の救いだった。
上や下にばっかり対峙している青島は、いつだって、つっぱらざるを得ない。

しかし、北丘雲斗には、甘えられるのだ。
そうして、北丘雲斗も、そんな青島をしっかりと受け止めてくれる。
なんというか、上のものが目下のものを包容するのとは違って、いつまでも変わらぬ同期の姿に、「全くおまえは変わらねえな」と受容する、そんな感じ。

長くつっぱってきた青島の姿を見ていても、そうして受容してくれる存在がいてくれるというのは、なんか、青島がひとりじゃないんだなと感じることができたんだよね。
上でも下でもない、同期にそういう存在がいることって意味があると思うんだ。

リアルタイム世代の責任

あの室井慎次作品ともしっかりリンクしており、家出した石津夫妻の息子を探し出し、秋田の実家に顔を出すように説得していたのも青島だった。
さらに、警察を去るという選択をした室井に、青島が、どう反応したのかということも初めて語られた。

正直なところ、これ一本で作品を評価するとなると、かなり厳しいよね。
あくまで、リアルタイムで、「踊る」の洗礼を受けてきた人向けの作品だと言えるだろう。
そのとき、ドンピシャのタイミングで洗礼を受けることができなかった人たちには、何が面白いか分からないのも当然だと言えるよね。

僕でさえ、過去の名シーンの引用とリンクの多さに辟易としていた。
「NEXT EVOLUTION WORLD」というタイトルにつられて、刷新された展開を期待していた僕は、すっかり裏切られてしまったことになる。
ま、それも覚悟していたんだけどね。

でも、同期の北丘雲斗とのシーンは、本当に予想外だったし、それが観れたから、僕は劇場に足を運んだ甲斐があったなぁと、ほんとに実感したんだよね。

この先、続くとしても、なんらかのカタチで見続けてしまうんだろうね、決して期待はしないまま。
それはもう、ファンというより、ある時代に出くわしてしまったものの責務として、見届ける責任を感じているのかもしれないね…

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