Appleのホリデーシーズン向けのCMが公開された。
ホリデーCMにしては珍しく、ひとつの製品、ひとつの機能にフォーカスされたものになっている。
しかし、理由は明確だ。
このホリデーシーズンにこそ、その機能を欲している人たちがいるからだ。
Heartstrings | Apple Holiday | Hearing Aid feature on AirPods Pro 2
くぐもった音声は、動画の不具合ではない。
難聴を抱える彼には、セカイは、そのようにしか聴こえない。
せっかくの、愛娘の弾き語りも、明瞭に聴き取ることができないのだ。
AirPods Pro 2 のヒアリング補助機能
今年から、AirPods Pro 2 には、ヒアリング補助機能が実装されている。
この機能に助けられ、彼は愛娘の歌声を、明瞭に聴き取ることができたのだ。
そうして、その声は、耳なんかより、もっと深いところに届いたはずだ。
ホリデーシーズンともなれば、ひさしぶりにしか顔を合わせることのない家族と、ようやく再会を果たせる時期でもある。
せっかくの孫の愛らしい声を聞き取ることのできない、おじいちゃま、おばあちゃまは多数、存在するんじゃないだろうか…
補聴器って…
耳が悪いんだったら、補聴器使えばいいんじゃない?
僕も、そうシンプルに考えていた。
だが、例によってセカイはシンプルではない。
CMの詳細欄には、このような記述がある。
私たちの多くにとって、音と聞こえ方は、周囲の世界とのつながりを形作ります。しかし、難聴の人は、聴力検査を受けて補聴器を装着するまでに平均 10 年も待ちます。その結果、何百万人もの人が、自分が難聴を抱えて生活していることに気づかず、必要な支援も受けられずにいます。
では、我がニッポン国では、どうかといえば、まずは、その値段に驚かされる。
5万円から、なんと60万円を超えるものまで。
AirPods Pro 2 って高いよね!とか、言ってる場合ではないのだ。
そう、困った時の保険があるじゃないかと思って調べてみると、補聴器には、いっさいの保険が適用されることはない。
大陸の外国人には甘い顔見せても、列島の国民なんかに振る袖はないってことなのだろう。
医療費控除は、受けられる。
ただし、治療に必要だと医師が診断した場合。
補助金も、受けられる。
ただし、自治体によって。
残る可能性は、あなたが障害者として認定されれば、1割負担で購入できるというもの。
しかし、その対象は、おそらく重度・高度のお方であって、その道のりは厳しいものになるだろう…
運良く補聴器を手にできたとしても、電話による通話では、相当な工夫がいるようだ。
おふくろ様が、このところ一向に電話をかけてこないのは、これが理由なんだろうか。
あれほどジャンジャン電話をかけてきてたのに。
音声通話がコミュニケーションの100%を占めると言っても過言ではない彼女には、さぞや、辛いことだろうね…
そのうち、僕もそちら側。
そんな風になっていくのだろうね。
では、今の状態は、どうなの?
予防、認知、補助
そんな僕の疑問に答えてくるような機能が用意されている。
今回、AirPods Pro 2 に実装された機能は補助だけではない。
予防と認知も含まれる。
世界保健機関によると、世界では約15億人が難聴を抱えています。また、難聴と、認知症や社会からの孤立といった個人の全体的なウェルビーイングへの影響に関連があることも、研究によって明らかになっています。 聴覚の健康についてユーザーがよりよく理解できるように、Appleは予防、認知、補助に焦点を当てたエンドツーエンドの体験を導入します。
Apple、画期的な健康機能を発表 – Apple (日本)
実際にiPhoneで、どんな風にテストするのかの動画も公開されている。
オマケにAirPods Pro 2 のお手入れ方法の動画も。
何十年経とうとも、あのときの我が子の笑い声を忘れることなんてないはずだ、親ならば。
それはきっと彼女も、おふくろ様も同様のはずだ。
だからと言って、過去音声の脳内リプレイばかりしているのも寂しいことだろう。
もっとも、歳を重ねた息子の「なう」な姿のほうが、寂しく映ることもあるかもしれないが…