Sports / NFL

ベンガルズはNFL史上3番目のチームになれるのか?

シンシナティ・ベンガルズは、ファンに向けて感謝の動画を公開した。
それは、あらゆる劣勢予想を乗り越えて、信じられないほどの素晴らしい結末を迎えた今シーズンの旅路を振り返るものだ。
そして彼らが高らかに宣言するLET’S RULE 2022は果たして可能なのだろうか?

Against The Odds

3年連続AFC北地区最下位のチーム。
一昨年は2勝しか上げることができなかった、去年にしたって4勝止まり。
そんなチームがスーパーボウルにたどり着けるわけなんてない。
そのオッズは、理性的な大人であれば正しかった。
アンダードッグどころか、ほとんど勝ち目のないチームだったのだから。

しかし、今シーズン、彼らは見事にAFC北地区のチャンピオンとなった。
だが、スムーズにタイトルを手にしたわけではない。
激戦に次ぐ激戦に、最後の最後までもつれた結果、最終的に首位にいた、そんな感じのレギュラーシーズンだった。

なにしろ、シカゴ・ベアーズにも敗戦を喫し、あのニューヨーク・ジェッツにさえ敗戦を喫したチームなのだ。
しかも、ザック・ウィルソンを怪我で失った後のジェッツにだ。

ポール・ブラウンの名前が由来となっている、負けてはいけない因縁の相手、クリーブランド・ブラウンズには2度とも敗戦を喫した。
ただ、ポール・ブラウンをブラウンズから追い出したアート・モデルのボルチモア・レイブンズには、2度とも快勝!
これならば、ポール・ブラウンにあの世からお目玉を食らうことはないだろう。

31年間の封印

プレイオフにたどり着いた彼らには、まさにここからが正念場だった。
なにしろチームは、31年間プレイオフで勝てていなかった。
しかし、1991年の1月にその封印をした張本人レイダースを自ら喰い破って封印を解いた。

しかしその後に続くのは、NFLの歴史に残る激戦…

テネシー・タイタンズには9サックを浴び、カンザスシティ・チーフスには立て続けに3TDを奪われた。
ワンサイドゲームになってもおかしくない展開を、彼らはモノにして勝ち上がった。

どんなにプレッシャーを浴びても、簡単にボールを失わないジョー・バロウ。
粘り強くアジャストして、勝負所でボールを奪うディフェンス。
お膳立てを裏切らないルーキーの100%キッカー。

それらがある種の方程式のように働いた。

31年ぶりのスーパーボウルでも、もう少しでこの方程式は完成するはずだった。
たとえスーパーボウルのトップタイ記録となる7サックを浴びようとも、ゲームの主導権は彼らが握っていたのだから。
しかし、ほんのわずかな時間、コンマ数秒の時間を奪われたことで、この方程式を完成させることはできなかった。

こうして3度目のスーパーボウルは、またもトロフィーを持ち帰ることができずに終わった。
あの偉大なポール・ブラウンの名を持つスタジアムに…

NFL100年のもっとも偉大なゲームチェンジャーであるポール・ブラウンの設立したチームが、いまだにトロフィーを手にできていないというのも不思議な話だ。

選手にプレイを覚えさせるのに、はじめて教室とノートを使用した。
映像フィルムによる分析も彼が初めて行った。
他にもフェイスガードを初めて発案したり、ヘルメットに受信機を仕込んだりとその功績は枚挙のいとまがない。
そして、あのビル・ウォルシュも彼のもとで7年もコーチを務めているのだ

情報源: NFL 2021 創立75周年のCLE ブラウンズは本当の歴史を作れるのか | ALOG

彼より年齢もキャリアも目下のコーチの名前がついたトロフィーなんて欲しくはないさと、あの世でポール・ブラウンがうそぶいているのだろうか…

Comeback Player of the Year

ジョー・バロウも歴代のジョーの名前を持つQBたちのように勝利で締めくくることはできなかった。
しかも、カレッジ時代から続くプレイオフ無敗の記録も途絶えてしまった。
しかし、忘れてはいけない。
シーズンを途中で棒に振るほどの怪我を負った彼は、そこからカムバックしてきたのだ。

そうして彼は、パサーレイティングに代わるPassing Scoreという新しい指標で、1位のグリーンベイ・パッカーズのアーロン・ロジャースに1ポイント差の2位につけるほどの活躍を見せた。
年間最優秀カムバック選手賞の受賞は、当然のパフォーマンスだったのだ。

LSUからのデュオは、NFLでもベスト・デュオとなり、WR ジャマール・チェイスはルーキーの最優秀攻撃選手賞に輝いた。
ルーキー新記録更新のおまけ付きで。

こうして、あらゆる劣勢予想を乗り越えて、スーパーボウル出場という過去最高の成績をおさめて2021 シーズンは終わりを告げた。
しかし、過去最高の成績を更新することはできなかった。
ヤングホワイトタイガー達には、まだまだこの先が期待できるはずだ。
では、彼らが高らかに宣言するLET’S RULE 2022は果たして可能なのだろうか?

スーパーボウルの敗者に翌年何が起こったか?

What Happened to EVERY Super Bowl Loser Since 2000?

NFLは興味深い動画を公開している。
2000年以降、スーパーボウルの敗者達は、翌年どんな結末を迎えているのか?

結果から言えばハッピーエンドを迎えたチームはほとんどいない。
プレイオフさえ逃してしまうチームが大半で、2003年のオークランド・レイダースに至っては4勝12敗と過去最低の成績を記録。
2008年のトム・ブレイディは、第1週に膝に大怪我を負い、シーズンを棒に振った。
そう、ニューヨーク・ジャイアンツにスーパーボウル史上最大のアップセットを食らった翌シーズンだ。

翌年スーパーボウルに出場できたのは、わずかに1チームのみ。
2018年のニューイングランド・ペイトリオッツだ。
前年、フィリースペシャルなんてイージーな名前だが効果は抜群のスペシャルプレイの前に敗れたペイトリオッツは、スーパーボウルに出場し、ラムズと対戦している。
ロースコア勝負を制したペイトリオッツは、見事チャンピオンに返り咲いた。
そうしてペイトリオッツはNFL史上2番目のチームとなった。
1972年のマイアミ・ドルフィンズに続いて。
そう、スーパーボウルの敗者が翌年チャンピオンになったのは、NFLの長い歴史の中でこの2チームしか存在しない。
ベンガルズは、またしてもオッズの良くない勝負を強いられることになる。

だが、思い出してほしい。
3年連続地区最下位、前年4勝しかできなかったベンガルズが、実際にスーパーボウルにたどり着いた。
ジョー・バロウはフットボールの選手としての大きなカムバックをしてみせた。
彼らなら、やってのけるかもしれない。
賭けてみる価値はある。
Against all oddsで…

 

コメントを残す