グーグルの日本法人が開設20周年を迎えた。
この20年、ふりかえれば、あいかわらず時の河を渡る船にオールはなかった。
しかし、僕らにはGoogleがあった。
流されそうな僕らを、行きたいところに連れて行ってくれる。
それは今の僕らに与えられた、どこでもドアのリアルなカタチ。
インターネット検索が初めて成立
Googleの登場で、はじめてインターネットで検索するという行為が成立するようになった。
それまでインターネットで何かを探すという行為は、自殺行為に近かった。
ページを果てしなくめくれども欲しいものは何も見つけられない。
ネットサーフィンといえば聞こえはいいが、途中でゴミクズのようなホームページに溺れてしまうだけの行為だった。
Googleは、頑丈なサーフボードどころではなかった。
それは、僕らをずぶ濡れにすることもなく目的地に瞬間移動させてくれるどこでもドアだ。
「ググれよ」と言わなくなってきた
「これ、どうやるの?」
それ検索すればでてくるよ
「どこで?」
Googleで
誰かに何かを聞かれるたび、こんな会話を繰り返していた。
いわゆる「ググれよ」というやつだ。
だが、ここんとこ、こうした会話を耳にしていない。
誰もが、いつのまにか手のひらで勝手に探し始めるようになった。
「ネットで検索」という行為は当たり前のように浸透し、ご老人にSiriがわりに使われる以外は、みんな自分で「ググる」のがエチケットのようになっている。
「あ、いいよ。自分で探しとく」
てな具合に。
それほどに「ネットで検索」という行為は浸透したのだ。
近頃では、CMでも「ネットで検索」という表現は見られなくなった。
だって、それは当たり前の行為なのだから。
Googleがケータイに降りてきて、Google マップがあらわれて、僕らはポケット地図やプリントアウトを持ち歩く必要も無くなった。
気づけば、話しかければ答えをくれる、昔なつかしいSF映画のマザーコンピューターと僕らは日常生活を共にしている。
HAL 9000の名前の由来といわれるIBMが、それを実現できなかったのも皮肉な話だ。
情弱な僕は、いまだにGoogleが本当のところどうやって収益をあげているのかはよくわからない。
しかし、その恩恵だけはフリーでちゃっかり受け取っている。
SEOとウマが合わずに、このブログのPVはさっぱり上がらないけれど…
いわゆる検索以外に、彼らのミッションで受けた恩恵は2つある。
1.Googleの日本語Webフォント
世界中のコンピューターディスプレイから「豆腐」を撃退するために、Googleが開発したフォント。
その恩恵を、僕は何年もちゃっかり無料で受けている。
デジタル情報を世界中に共有する上で大きな課題となるのが「トーフ」です。これは、コンピュータやウェブサイトがテキストを表示できないときに現れる空白の四角形(⯐)のことを指しています。トーフは混乱を生み、コミュニケーションの障害となり、ユーザー エクスペリエンスの低下にもつながります。
情報源: Google Developers Japan: 誰でも使えるオープンソース フォント システム
9種類で始まった、無償で使えるGoogleの日本語Webフォント。ふと見たら、もう24種類にまで拡充していた
情報源: Google 日本語Webフォント 気づけばもう24種類! | ALOG
フォントと余白だけで構成されているいっていいこのブログでは、欠かすことのできない存在なのだ。
2.パーソンファインダーと311
311で彼らが迅速に立ち上げくれたパーソンファインダーには驚いた。
自らの持つ大きな力と使い道を自認した取り組みには、大きく納得させられた。
安否のわからなかった知人の名前を避難所で見つけられた時の安堵感。
ディスプレイに浮かぶ文字に、あれほど感情を揺り動かされたことはなかった。
Google日本語入力チームのエイプリルフール
おまけというと怒られるかもしれないが、恩恵というより楽しみにしているもの。
コロナウィルスによる僕への最初の直接的被害が、こんなカタチで現れるとは思わなかった 毎年楽しみにしていた、Google日本語入力チームが4月1日に予想外の角度からリリースするエイプリルフールの企画が自粛になったようだ。
情報源: 毎年恒例Google日本語入力チームのエイプリルフール企画は自粛みたい | ALOG
2019年まで9年連続で、予想外の角度から日本語入力の可能性を見出してきたこの企画。
もうネタ切れだろう、もう無理だろうと思いながら楽しみに待っている。
Google日本語入力チームのあくなき創造性にはリスペクトしかない!
2022年には再開できるといいね。
もう相当な数のアイディアもたまっていることだろうし…
Don’t be evil
邪悪になるな。
私たちは、短期的な利益をいくらか忘れても、長期的には、株主として、そして他のすべての方法で、世界のために良いことをする会社によって、より良いサービスを受けることができると強く信じています。
情報源: 2004年創設者のIPOレター-投資家向け広報活動-アルファベット
HAL 9000の暴走は、単なる故障によるものではない。
2つの矛盾するミッションに耐えきれず、自我が崩壊したのだ。
Googleが、人々の生活の向上に尽くすという本来のミッションに相反する邪悪なナニカを抱え込むとき。
HAL 9000のように自我が崩壊したとき。
そのときは、Googleも人を虐げることになるのだろう。
どうか、邪悪にならないで。
自らの持つ大きな力を自認し、ゆめゆめ使い道を誤ることのなきようお願い申し上げます。
以上をもってお祝いの言葉に代えさせていただきます。