誰も予想していなかった「ほぼ日手帳アプリ」の誕生!
その詳細が、遂にリリースされた。
長いことDay Oneをドップリ使っている僕としては、2つのポイントに着目していた。
ほぼ日手帳アプリ
ユビキタス・キャプチャーのために
もうすでにDay Oneや、Appleのジャーナルをお使いのあなたならお馴染みの機能。
あなたにずっと付き添ってくれるおかげで、あなたの1日を記録しておいてくれる。

僕は座っている時より、歩いている時の方が、アレコレが浮かぶ体質なのだ。
ふと浮かんだ揮発性のナニカは、あっという間に消え去ってしまう。
だから檻なんて準備の時間のかかるものを用意しようとすると、簡単に逃げ切られてしまうのだ。
いかに測量野帳を備えていても、あの逃げ足の速さには追いつかないこともある。
入力しなければならないといっても短文のテキストなら、iPhoneのフリック入力の方がクイック。
だから結局、メモのファーストチョイスはiPhoneになることがほとんど。
しかも、現在の僕は、Day One一箇所に集約しているから、後であっちこっちをめくる必要もない。

あの日、あなたはこう書いた
OK!ここまでは、どんなジャーナルアプリも大きくは変わることはないだろう。
僕が注目していた最大のポイントは、Day Oneで言うところのOn This Dayの機能があるかどうかだ。

様々なアプリやサービスがある中で、どうしてもDay Oneが手離せない理由がある。On This Dayという独特の機能がそれだ。「あの日、あなたはこう書いた」と、それは教えてくれるのだ。
Day Oneを手放せない理由「On This Day」 | ALOG
ほぼ日5年手帳みたいな、過去の自分とのセレンディピティが楽しめる。
こちらには、5年という期間にも、書く量にも制限がない。
覚えていることは検索できる。
しかし、ヒントすら忘れ去ったものは検索の大きな網目から漏れてしまう。
忘れるために書き捨てたものも山ほどある。
しかし忘れたくないから書き留めたものも、ささやかながら存在する。
そうして僕は得てして、忘れなきゃいけないものの強い苦味だけ刻み込んで、忘れたくないものの仄かな甘さをどこかに追いやってしまう。
そんな僕には、On This Dayという機能は、苦い人生に立ち向かうために不可欠な、自前のシュガーポットのようなものなのだ。
そうして、その機能を、「ほぼ日手帳アプリ」も搭載してくれた。

この機能が備わっていないせいで、Appleのジャーナルを、僕はほとんど使っていない。
ただ、Appleのジャーナルには、聴いた音楽を綺麗にキャプチャーする機能もあるのだけれど…

ほぼ日手帳との連携
もうひとつの注目ポイントは、ほぼ日手帳との連携。
ほぼ日としては、絶対にデジタルとトモエリバーSとの連携を図るだろうと思っていた。
しかし、現実離れした無理くりな連携では、しらけてしまう。
ほぼ日が選んだ方法は、連携の相乗効果を生むものだった。

これならデジタルと紙の双方の強みを生かすことができる。
フォトジェニックな写真を撮れない僕ではあるが、今日の表紙を選ぶという作業が、必然的に1日を振り返るという時間を作り出すかもしれない。

さらにデジタルと手帳のフローも、これで確立できるかもしれない。
なにしろ「ほぼ日手帳アプリ」で、ばしばしキャプチャーしておいて、1日の振り返りの中で、今日の表紙を決めて、貼って、まとめやドミナントを記入するという…
エッセイをお書きなさいと言うけれど
「YOU LOVE YOU?」のお言葉を発せられた糸井重里御大に置かれては、この際、エッセイをお書きなさいなとオススメだ。

自分の書いた昔の手帳は、本当におもしろいですから。
「ほぼ日手帳アプリ」ができたら、一日を振り返りやすくなるはずなんで、ほぼ日手帳にエッセイを書いてみるといいですよ。
糸井重里インタビュー〈手帳2026予告〉 – ほぼ日手帳マガジン – ほぼ日手帳
ただ、そうなるとiPhoneとAndroidのプラットフォームでしか稼働しない「ほぼ日手帳アプリ」は、物理キーボードがないことが、切なくなる。
僕がドップリ使っているDay Oneは、マルチなプラットフォームで稼働する。

The award-winning journal app for capturing life as you live it. Free to download on iPhone, Android, iPad, and Mac. Now available on the web.
Day One Journal App | Your Journal For Life
だからiPhoneのフリック入力で書き始めたものが、MacBook Airのキーボードで完結することが多い。
短いキャプチャーならフリック入力の方が快適だ。
しかし、もうちょいまとまったテキストを打つのなら、物理キーボードは不可欠なのだ。
生まれながらのiPhoneネイティブ世代なら話は違うのかもしれないが…
しかし、Day Oneだけを生業にしている会社でもWeb版は数年後にリリースされたし、Windows版に至っては今年になってからようやくだ。

Day One Windows アプリ ベータ版をリリース | ALOG
まだビジネス的によく掴めない状況で、開発の負担をどっかり背負ってくださいなとは安易には言えない。
まずは、プレミアムプランが、いや、何しろどれほどのユーザーを取り込めるかという点にかかっているのだろう。
プレミアムプラン

フリーミアムに慣れ親しんだ僕らにとって、アプリやサービスにお金を払うということは、ちょっとした障壁のように思える。
以前は、まずはMacのOSはもとより、日本語入力プログラムさえも有償で手に入れなければならなくて…という昔話は置いておこう。
ヘビーな手帳ユーザーが、年間に手帳にかける金額を思えば決して高額とは思えない。
どっぷりのめり込むのならプレミアムプランのユーザーになるべきなのだろう。
だから僕も、Day Oneにおいては、ずっとPremium アカウントとして利用している。
現在は、年間¥3,800のはずだ。
「はずだ」というのは、僕は割引されて年間¥2,800で利用できているからだ。
なぜかといえば、初期の頃にmacOS版のアプリが有償の買い切りだった頃、それを払って使っていたために、仕組みが変わった現在は永年割引ユーザーとして、この先ずっと割安に使っていくことができる。
早めに払えば、得をする!かもしれない…
ただ、最近は、Day OneはFree userに、Premium の機能をどんどん解放し始めた。

We believe that everyone deserves the freedom to journal the way they want, whether that’s documenting everyday moments, organizing thoughts across different areas of life, or sharing meaningful entries with others. That’s why we’re excited to share a big change: all Day One users can now create unlimited journals, no Premium upgrade required.
New for Everyone: Create Unlimited Journals
いや、いいことなんだよ。
これでジャーナルという習慣が、どんどんセカイに広がるきっかけになればいいんだから。
そうしたセカイの土壌を作るために、僕が払ってきたささやかな料金が、その一助になるのなら…
それにそもそも、Day Oneを買収したAutomattic社は、これまたどっぷりお世話になっているTumblrとWordPressも提供してくれている。
しかも、そちらには、ほぼ一銭も払っていない…
Automatticのマット・マレンウェッグCEOもDay Oneのユーザーだったようだ。
そして、ジャーナリングの効用を身に染みて理解している。

父がICUにいた2016年に毎日真剣に使い始め、後に亡くなりました。
私が経験したことを書くためのプライベートで安全な場所があることは、私を正気に保ち、すべてを処理するのに役立ちました。
Day OneをWordPressのAutomatticが買収というグッドニュース | ALOG
今回も、ほぼ日手帳という巨大な存在を媒介として、デジタルにおけるジャーナリングが広がろうとしている。
逆に、「ほぼ日手帳アプリ」をとっかかりにして紙のジャーナリングを始める人たちも現れるかもしれない。
紙か、デジタルかなんて議論は、もう過去の遺物。
それが存在できる場所は、お遊びのディベートにしかないだろう。
紙もいい。デジタルもいい。
両方の恩恵を受けながら、僕らは自由にジャーナリングの大海に漕ぎ出していくのだ…
