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イチロー マリナーズ殿堂入りセレモニー「犬とバトンと」

イチローのシアトル・マリナーズの球団殿堂入りセレモニーが行われた。
野球には詳しくない僕だけれど、NFL的に表現するならばリング・オブ・オナーというところか。
チームに著しく貢献した選手やコーチを記者会見などではなく、スタジアムで、ファンと共にお祝いするそのセレモニーは好きだ。
タンパベイ・バッカニアーズのモンテ・キフィンのセレモニーもインプレッシブだった。

NFL100年の歴史に名を刻むタンパ 2。 伝説のディフェンス・システムを作り上げた功労者。 リング・オブ・オナーとして、ファンにお披露目されたモンテ・キフィン。 彼のスピーチが印象的だった。 簡潔で、しかし十分にエモーショナルなスピーチには、彼の功績とキャラクターがしっかりと織り込まれていた。

情報源: NFL 2021 TB バッカニアーズ「 モンテ・キフィンのスピーチが印象的」 | ALOG

こうしたものを目にするとき、それが単なる競技ではなく、まして単なる興行でもなく、まさしく文化のひとつであると強く実感する。
しかしそれは、はるか太平洋を隔てたアメリカ国の話。
そうした文化は日本人には縁遠いものだと思っていた。
でも、鈴木 一朗という日本人が、その栄誉にあずかるという知らせを聞いて、一気にその文化を身近に感じられることができた。
野球ファンでもないくせに、そんなところだけ只乗りするなんてと言われてしまうかもしれないが、希代の名選手とは、それほどの影響力と恩恵をもたらすのなのだとお目溢し願いたい。

Ichiro Mariners Hall of Fame Ceremony Tribute Video

愛犬からのセレブレーション

セレモニーで祝福のメッセージの口火を切ったのは、イチローの愛犬たち。
亡くなってしまったあの有名な「一弓」の写真の後に、「姫弓」と「天朗」が遠吠えまじりで見事に大役を果たした。
立派に務めを果たしたGood BoyとGood Girlの姿に、イチローと弓子さんがハイタッチする姿も微笑ましい。

松坂大輔や大谷翔平からも

お祝いのメッセージ動画には、レジェンドたちに混じって松坂大輔や大谷翔平も登場している。

さらには過去のチームメイトや現役選手からも。

16分間のスピーチ

彼の16分間のスピーチは、とてもインプレッシブだった。
ユーモアを織り交ぜ、観客席のファンと直接やりとりをしているような…
そうしてファンも、いちいち歓声と拍手でそれに応じた。
翻訳された全文もこちらに掲載されている。
その中で印象的だったシーンがふたつある。

アイドルへの告白

アメリカに来るずっと前から憧れだったケン・グリフィー Jr.とチームメイトになれたこと。
それはまさしくキャリアハイライトだった。

普段ジョークばかり飛ばしあっているであろう二人の間で、こんなに真剣に思いを伝えた場面はあったんだろうか?
自分のアイドルに、こうした場面でその思いをきちんと伝えられること。
それはきっと、伝える方にも伝えられる方にも幸せであることは間違いない。

現役選手への檄文

こうしたスピーチの多くは、たいてい美しく感謝で締めくくられる。
しかし、イチローは彼らしく現役選手への、後輩への檄文も盛り込んでいる。

日本から来た痩せっぽちが、これだけのことをやったんだ。
お前らにできないわけがないだろ。
勝手に限界つくってんじゃねえぞ。

その言葉を食い入るように聴き、深く頷いていたダグアウトの現役選手たちの表情が忘れられない。

イチローのスピーチに聴き入るシアトル・マリナーズの現役選手

彼は、イチローは、自分にバトンを渡してくれた相手に感謝を告げた。
そして、そのバトンを渡したのだ。
そのバトンを受け取ったのは、シアトル・マリナーズのダグアウトだけではないはずだ。
いつの日か、誰かさんのスピーチにイチローは登場することだろう。
今度は感謝される立場として…

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