Apple User / iPhone
お母さんの好奇心にiPhone SEを

お母さんの好奇心にiPhone SEを

「電話とメールができればいいの」

そう言っていたお母さんが、ついにiPhoneデビューを果たすことになった。
不安と好奇心でいっぱいだった、もう80歳近い彼女の背中を押したのは、長く使い込んでいたガラケーだった。

3Gサービス終了の知らせ

テレビで不安を掻き立てられる世代の彼女をザワザワさせたのは、これまたやっぱりテレビのニュース。
後数年で3Gサービスが終了するという短いニュースに、彼女は相当不安を掻き立てられた。
ケータイへのデビューが早かったとはいえない世代の彼女は、ようやく覚えたガラケーがすぐにも使えなくなるという不安を度々口にするようになった。
ガラケーという存在はすぐには消えてなくならないし、4Gに対応しているガラケーなら、まだまだ大丈夫。
そう伝えてもテレビのニュースに楔を打ち込まれた彼女の不安は、簡単には消えて無くなることはなかった。

本当の危機はいっさい報道しないくせに、どうでもいい不安を煽ることに長けたテレビの威力は、まだまだ絶大だ。
これがステマなら、相当な効果を上げているはずだなんて穿った見方をしてしまうのは、僕の人間性の問題なのだろう。

好奇心の最後のチャンス

そうして彼女は、スマホに機種変更したらどうだろうかと口にするようになった。
スマホが単に持ち歩ける電話ではなく、現代社会のインフラの一部になっていることは、なんとなく感じてる。
だからもう移行した方がいいのかもしれない。
しかし、先行してスマホデビューを果たしたお友達の苦労話も山ほど聞かされている。

悶々とする中、ついに愛用しているガラケーが充電されなくなってしまった。

「ちょっと見てくださる?」

確認してみると、インジケーターは全く光ることなく、充電されている様子は感じられない。
原因が本体なのか充電ケーブルなのかは判別できなかった。
しかし、ワンプッシュで勢いよく開閉するはずのそのガラケーは、ゆるゆるとしか開かない。
いずれにせよ、この機械自体は交換するべきだ。
まだスマホへの移行が不安だろうから、4Gでいけるガラケーに機種変更しよう。
そう決めてショップに出かける前に、彼女に軽く問いかけた。

「機械を交換した方がいいと思うので、新しいガラケーを見繕って機種変更しますよ」

お願いしますと即答されると思っていたら、以外にも彼女は戸惑っている。

「うーん、どうしよう…」

じゃあ、スマホに変えますかと試しに聞いてみる。

「そうね…この際だから」

と意外な答え。

悶々とする彼女にとって、決断を迫る僕はメフィストフェレスのように見えたかもしれない。
しかし、不安と好奇心のミルフィーユに苛まれていた彼女には、これが絶好の、そして最後のチャンスと感じられたようだ。

「新しいことを覚えるには、もうそろそろ最後のチャンスかもしれないし…」

新しいチャレンジに踏み出すのに、足りない勇気を補うのは、いつだって偶発的な出来事だ。
それに無理やり背中を押され、人は決断せざるを得なくなる。
OK!
それならば、僕もその勇気に敬意を表して、らくらくホン的なものに逃げずに、iPhoneというど真ん中勝負で行くことにした。

iPhone SE(第3世代)

選んだのは、iPhone SE(第3世代)64GB スターライト。
廉価版ではあるけれど、堂々の最新機種だ。
5Gもイケるぜ!

A15 Bionicのパワーと5Gのスピード。つまり、ずっと頼れるハイスペックです。

情報源: iPhone SE – Apple(日本)

らくらくホン的なものって結局のところ、アイコンをデカくして並びをシンプルにしただけのもの。
それならば、余計なアプリはどんどん削除して、シンプルなホーム画面を設定してあげればいいよね。
そうしてあげれば、世代的な格差のないものを彼女はシンプルに使うことができる。

写真やミュージックの巨大なライブラリを抱え込んでいない彼女には、64GBの容量は充分すぎる。
A15 Bionicのおかげか、動作はキビキビしてるし、4.7インチディスプレイもガラケーに比べれば広大だ。
カメラも最先端でなくてもよい一般ピーポーにとっては、本当にコスパに優れたモデルだと感じる。

余談だが、もう生産されることのないiPhone miniモデルもSEラインで存続させてくれないものだろうか…

iPhoneのプライバシー

iPhoneにこだわるのは、少しでも安全なものを使ってほしいからだ。
長年のiPhoneユーザーの僕にしたって、抜かれている情報に、どれほどワキが甘いかは自覚できていない。
そんな世知辛いトラッキングの世界に、年老いたウブな初心者ユーザーを放り出すわけにはいかないじゃないか。
完全ではないのかもしれないが、せめて安全と思えるものを使ってほしいよね。
それがただの気休めに過ぎないとしてもね…

ファミリープランでiCloudバックアップも

慣れてない人にバックアップの重要性と方法と、そしてまた習慣を伝えることほど骨が折れることはない。
ましてそれが年老いた相手であれば尚更だ。
しかし、その問題もApple Oneのファミリープランのおかげで、ほぼノータッチ。
ファミリー共有に彼女を加えてあげれば、追加費用も発生することなく、自動でiCloudにバックアップを取り続けてくれる。

皆様ご存知のように、トラブルが発生したとき、泣きついてくる初心者の実に100%がバックアップをとっていない。
そんなディザスターから、あなたとあなたのファミリーを守り抜いてくれるのだ。

iCloudにモロモロお任せすることにした僕は、懸案だったiPhoneのバックアップにもチャレンジすることにした。ストレージも増量して臨んだ僕だったけど、拍子抜けするような驚きがあった。

情報源: iCloudにまかせよう(2)「iPhoneのバックアップで驚いたこと」 | ALOG

通話ヘビーなプランで

使い方が僕と正反対な彼女には、お誂え向きのプランがあった。
SoftBankのスマホデビュープランだ。

ガラケーからスマホにのりかえ(MNP)・機種変更、またはスマホの新規契約(5歳~15歳対象)で、おトクにスマホをご利用いただける料金プラン「スマホデビュープラン」をご案内します。

情報源: スマホデビュープラン | スマートフォン・携帯電話 | ソフトバンク

ほとんどをお家のWi-Fiにつながって生活する彼女が、3GBのデータ容量に不足を感じることはないだろう。
その代わり、24時間いつでも国内通話無料のオプションをぶち込んだ。
僕らがデータ無制限に歓喜したように、彼女には相当うれしかったようだ。
携帯電話、固定電話に関わらず、もし相手に料金が発生するようなお友達がいたら、こちらからコールバックしてあげればいいものね。

家族も楽になったこと

彼女がiPhoneに機種変更したことで、僕らも楽になったことがある。
ガラケーの操作方法で質問を受けたりトラブルシューティングしなければならない場面から解放されたからだ。
以前は、当然ながらガラケーユーザーだった僕らだけれど、もう操作方法は忘れてしまっている。
まっさらな気持ちで向かい合っても、あの階層の深いインターフェイスでは、容易に目的地に辿り着くことができない。
これからも質問は飛んでくるだろうが、それはiPhoneでのこと。
それなら、いくらでも対応できる。
ここ10年、いろんな人にやってきたように…

あの充電できなかったガラケーは、ショップでは充電することができた。
つまり本体の問題ではなく、充電ケーブルの問題だったのだ。
しかし、それはもういい。
長く使われたガラケーが、最後に彼女の好奇心の背中を押したのだ。
それが最後の役目というのなら、それはガラケーにとっても本望なことであったに違いない…

コメントを残す