カムバックしたジョン・ウィックは、動き始めたら止まらない。
流れるように、しかし確実に敵をなぎ倒していく。
では彼は、いったい何人の敵を倒したのか?
その数、実に80人!
作品を見ている間は、あまりにスムーズな動きに気づくことはなかったが、膨大な数の敵をなぎ倒したことになる。
「一人で組織を壊滅に追いやった」なんて枕詞がよく使われるが、それはこのようにして生まれるのだろう。
チャーリーのディナーサービスは、てんてこ舞いの大繁盛に違いない。
アクションというにはあまりにもタクティカル
この作品の目玉は、ジョン・ウィックのアクションであることは間違いない。
しかし、アクションを目玉にする昨今の作品とは一線を画している。
彼は、二丁拳銃を振り回して見得を切ったりしない。
ダンスのようなカンフーシーンも登場しないし、ワイヤーで釣り上げられる男も、ブレットタイムで存在を誇示する弾丸も登場しない。
彼は、最短で最大の効果を生むべく、淡々と行動している。
それは、アクションと呼ぶにはあまりにも血生臭い。
しかし、余分なものを削ぎ落とした動きは、その血生臭ささえ削ぎ落としてしまった。
彼の所作が、アクションというよりタクティカルなそれに見えるのは、銃器の扱いがしっかりとしているからだろう。
がっちりホールドして、しっかりとポイントする。
流れるようなマガジンチェンジさえ美しい。
いわゆるガン・チャンバラと一線を画しているのは、実銃でのトレーニングにより身につけたものが大きな要因だ。
オートマチックピストルで、フルオートのように弾を吐きながら、しかし確実にターゲットにヒットさせていく凄腕のインストラクター。
彼らのトレーニングによって、我らがジョン・ウィックは誕生した。
そしてそれは、そのスキルをアンダーグラウンドではなく、正規の組織で身につけたという彼のプロフィールに合致するのだ。
そんな殺人スキルを持つジョン・ウィックって何者?と思ってしまうが、実は映画の中でちゃんと彼が殺し屋になる以前の経歴が描かれている。それは、殺しを決意したジョンがシャワーを浴びるシーンにある。ここでジョンが刺青だらけのボディのオーナーであることがわかり、背中には「Fortis Fortuna Adiuvat」と彫ってある。これはFortune Favors the Bold(幸運は勇者に味方する)。ハワイのカネオヘ湾の米軍基地に所属する海兵隊のモットー。彼が軍隊帰りということを意味している。
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