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樋口可南子のフラットなエゴと「コタキ兄弟と四苦八苦」

樋口可南子のフラットなエゴと「コタキ兄弟と四苦八苦」

善意もない、悪意もない、ただ、独り身の初老の女が持つであろう明確なエゴだけは、しっかりと持ち合わせている女。
そんな女をさらっとフラットに演じる樋口可南子のソコヂカラ。
そしてフラットどころか、エゴすらも持ち合わせちゃいないコタキ兄弟。
そんな彼女と彼らのエピソードは、とてもインプレッシブで、動かされる。
第4話「四、死苦」は忘れがたいエピソードだ。

1月31日(金)放送
「四、死苦」
無職の兄弟、一路(古舘寛治)と二路(滝藤賢一)にまたもや「レンタルおやじ」の依頼が!今回の依頼は少し長期になるからと、依頼人・島須弥子(樋口可南子)との面談から始まったのだが、須弥子は「あと3か月したら世界が終わる」と言い出す。兄弟にあれこれ買い物を頼むなどまるで奴隷のように扱う須弥子に一路は不信感を抱くが、二路は「その分大金を稼げる」と大喜び。謎が多い須弥子の本当の依頼とは…?

情報源: 「四、死苦」|ストーリー|ドラマ24 コタキ兄弟と四苦八苦|主演:古舘寛治 滝藤賢一|テレビ東京

樋口可南子のフラットなエゴ

樋口可南子が演じる初老の女は、全てを捨てた独り身の女。
失ったのではない、捨てたのだ。
いや、整理したというべきか。
財産から人間関係から社会的慣例から、糸電話の糸を切るように、ある日プツンとそれら全てを自分の世界から追いやった。
しかし、今を自分の生きたいように生きるという明確なエゴだけは手放していない。

心置きなく「レンタルおやじ」を活用する彼女は、コタキ兄弟の名前すら覚えようとはしない。
しかし、それには理由があった。
名前を覚えたくないという理由が…

ナニナニ・ブラザーズ

一路(イチロー)と二路(ジロー)のコタキ兄弟は、奴隷のようにこき使われるが、いっこうに名前を覚えてはもらえない。

「で、あんたはナニローだっけ?」

と常に問いかけられている。

コタキ兄弟は彼女とは違う。
捨てるものなど何もない。
もともと、何にも持ち合わせちゃいないのだから。

持たざる者だけが持ちうるもの

持たざる者だけが持っているものがある。
ナニナニ・ブラザーズが彼女に贈ったものは、そうした類いのものだった。
持たざる者だけが持ち合わせているナニカ。

そうして彼女は、ついにコタキ兄弟の名前を口にしてしまう。
覚えていないと虚勢を張っていた、彼らの名前を。
そして、彼女は、彼女のエゴは、そうなることを望んでいなかったのだ。
「ナニローくらいがちょうどよかったのに…」
しかし、コタキ兄弟はもうすっかり理解している。
そうした彼女のエゴを、いや彼女自身を。
そんな彼らの姿を理解し、微笑む「レンタルおやじ」代表のムラタ(宮藤官九郎)。

スターダスト☆レビューのエンディグテーマが流れ出す一連のラストシーンは、one of the bestの名シーンだ。

ちょうどいい幸せ

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