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NFL100年の歴史が変わる!チェーンクルーがいなくなる

NFL 2025シーズンは、リーグ始まって以来の100年の歴史に大きな変革をもたらすことになった。
チェーンクルーが、バーチャル測定技術にとって変わられることになったのだ。
ゲームチェンジャーは誰かって?
It’s a SONY!

A Game of Inches

フットボールは、インチを争うゲームなんだ。
そのインチが、勝敗だけではなく、シーズンさえも左右してしまう。

なんて鼻息荒く説明していると、フットボールを知らない家人が、いつも笑う。
「そんな大事なことを、あのあいまいに置いたボールの位置で、長さのはっきりしないチェーンで測るわけ?!」

The History of Using the Chains to Measure a First Down | NFL Films Presents

厳密に進めようとするから、他のスポーツでは見られないチェーンクルーを用意して、わざわざゲームを中断してまでメジャメントを行う。
しかし、ボールを置く位置は審判が判断した位置であり、そのチェーンの張り方が正確に10ヤードきっかりなのかと言われれば…
だがそれは、愛すべき曖昧さでもあった。

さらに、ここぞというときにチェーンクルーが呼ばれ、審判と両チームの選手が入り乱れて固唾を飲むのは、フットボールならではの、なんていうか、ひとつのシーンだった。

防具は著しく進化し、Next Gen StatsはAWSの機械学習の力を借りて瞬時にプレイを解析できるようになった。

NFL 2024 Next Gen Stats 新しい指標はタックルの質と回避能力がわかる | ALOG

だがチェーンクルーは、時が止まったかのようにチェーンクルーのまま。
せいぜい、チェーンギャングという愛称が増えたくらいの変化しか訪れていなかった。
それが遂に、バーチャル測定技術にとって変わられることになったのだ。

SONY Hawk-Eye

Sony’s Hawk-Eye virtual measurement system allows the NFL to accurately and efficiently measure the distance between the spotted ball and the line to gain. The technology was tested extensively last season and will bring a new level of precision and speed to NFL officiating.

NFL Selects Sony’s Hawk-Eye Innovations to Revolutionize Line-to-Gain Measurements | NFL Football Operations

ソニーもプレスリリースを出している。

ソニーのグループ会社であるHawk-Eye Innovations(ホークアイ)のバーチャル測定技術が、National Football League(NFL)の2025年シーズンからライン・トゥ・ゲインの主要な測定方法として使用されます。昨シーズンでのテストを経て、攻撃開始地点から次のファーストダウンを獲得するために必要な10ヤード先の地点(ライン・トゥ・ゲイン)に到達したかを正確かつ迅速に測定し、審判判定の精度をより高め、円滑な試合運営に貢献します。

ニュースリリース | ホークアイのバーチャル測定技術がNational Football Leagueのライン・トゥ・ゲイン測定に採用

ソニーとNFLが手を組むのは、今回が初めてのことではない。
そもそも、あの精緻な画像が要求されるリプレイ判定のための映像を提供しているのだ。

いつも最新技術の先陣を切るのがNFLだったが、今回の採用は、どちらかといえば後の方だ。

ホークアイは、世界のトップ25のスポーツリーグのうち23と提携しており、サッカー、テニスのグランドスラム、クリケットの主要トーナメント、ラグビーワールドカップなど、複数の国際的なスポーツイベントにおいて審判判定システムを提供しています。

ニュースリリース | ホークアイのバーチャル測定技術がNational Football Leagueのライン・トゥ・ゲイン測定に採用

日本人の僕らは、もうすでに大きな恩恵を受けている。
それは、インチの世界ですらない、ミリ単位の話だ。
「三苫の1ミリ」に繋がったのは、ソニーのホークアイの映像のおかげなのだ。

スペイン戦では、三笘(みとま)薫選手のゴールライン際のプレーが光ったが、この判定を支えたのが、ソニーグループ傘下の英ホークアイ・イノベーションズが提供する映像再生技術だ。

「三笘の1ミリ」演出したソニーGの技術 | JAPAN Forward

さらに、ソニーは、NFLコーチ用のヘッドセットの導入も行うことになった。

ソニーのノイズキャンセリング技術は、1000Xシリーズの製品を通じて多くのユーザーから高い信頼を得ています。そのノイズキャンセリング技術は、NFLの通信専用に調整された本ヘッドセット開発において、重要な役割を果たしています。100デシベルを超える実際の観客騒音下でテストを実施し、ノイズキャンセリングのアルゴリズムをスタジアムの環境に最適化しています。また、専用設計のマイクを搭載し、コーチの声を分離して強調することにより、フィールド上で常に明瞭なコミュニケーションを実現します。

ニュースリリース | ソニーとNFL、新開発のコーチ用ヘッドセットを2025年シーズンより導入開始

こうした新しい技術の導入を、NFL100年の最大のゲームチェンジャーだったポール・ブラウンなら喜んでくれるだろうか。

Head Coach
Paul Brown
“Paul Brown in the history of pro football was one of its greatest innovators.” – Paul Warfield

NFL 100 | NFL.com

初めてQBとヘルメットの無線を介して通信しようとした彼は、警察無線の混入に悩まされていた。
そんな彼には、ソニーのノイズキャンセリング技術は朗報であるはずだ。
あの時代の人間である彼に、それは日本製品だと伝えると顔を曇らせるかもしれない。
しかし、この企業の製品は、判定にまつわるノイズも取り除いてくれますよと申し添えておけば、両手をあげて受け入れてくれることだろう…

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