100シーズンを迎えるニューヨーク・ジャイアンツは、記念のユニフォームを公開。
センチュリー・レッドと名付けられたユニフォームは伊達じゃない。
チームの100年の歴史が盛り込まれたそれは、着用できる博物館と言っていい。
CENTURY RED
Century Red Uniforms | Giants 100th Season | New York Giants – Giants.com
1933年のレッドジャージ
1933年、NFLは初めてのプレイオフ、そして、初めてのチャンピオンシップゲームを開催した。
イースタンとウェスタンの、それぞれのディヴィジョンを制した、ニューヨーク・ジャイアンツとシカゴ・ベアーズの対戦だ。
最近では、あまりお目にかかれないテイストのデザインは、その時のユニフォームを、フォントまで再現している。
そもそも、BLG BLUEのニックネームが定着する1950年代後半以前は、ジャイアンツのプライマリーカラーは赤だったのだ。
1925年のタンカラーのパンツ
このジャージにタンカラーのパンツを組み合わせるのも、現在では珍しい。
グリーンベイ・パッカーズもスローバックにおいては、このパンツを着用していた気がする。
1925年当時においては、このタンカラーのパンツは定番品だったのだろうか。
もっとも、NFLに参加するために、ティム・マーラが支払ったのが、わずか500ドルだった時代のことなんて、肌感覚でつかめようもない。
Founder of New York Giants TIM MARA “My father was offered the New York franchise in the National Football League for $500.” – Wellington Mara
このパンツを着用していた1927年シーズンにおいて、ジャイアンツはいまだに破られることのないチーム記録を樹立した。
13試合での失点が、わずか20点!
LT擁する強力なLBユニットが存在していた1980年代でも、そんなことは不可能だった。
それを思えば、1927年のジャイアンツは、いったいどれほど強力なディフェンスだったのだろうか…
1938年のウィング・ヘルメット
まだ革のヘルメットだった頃の皮あてを利用したデザインは、ミシガン大学でもおなじみだろう。
この頃のヘッドコーチは、スティーブ・オーウェンだった。
1930年から1953年まで、なんと、24シーズンもチームの指揮をとった。
150勝99敗17引き分け(.596)で、150勝は今でも球団史上最多である。
新勢力のクリーブランド・ブラウンズのパス攻撃に対抗するため、アンブレラ・ディフェンスを考案し、2プラトーンも確立した。
そして、A-formation。
シングルウィングのバリエーションであるそれを、Tフォーメーションがセンセーショナルな登場を果たした後も、引退するまで使い続けた。
現在のスプレッドの原型がシングルウィングであることを思えば、A-formationでは、どんなプレイが展開されていたのか興味は尽きない。
NFLでも彼以外に、このフォーメーションを使ったチームはないらしい。
古典好きなアンディ・リードが、どこかでスローバックさせてくれないものだろうか…
100周年記念ロゴ
さらにジャイアンツは、100周年記念ロゴも発表。
これまたチーム100年の歴史を凝縮した濃密なアイコンに仕上がっている。
Giants 100th Season Logo revealed; 2024 celebration announced
ジャイアンツでは、チーム100年のベストプレイヤーも選出中のようだ。
Giants 100th Season | New York Giants – Giants.com
ルーキーながら、ETばりの活躍により、ついにNFLにサックを公式記録としてカウントさせるようになったローレンス・テイラーは何位にランキングされるのか?
僕の知らない時代の選手もランキングするのか?
その選出理由もあわせて興味は尽きない。
そして、パスの捕れるランボー、マーク・ババーロはランクインするのだろうか…
Mark Bavaro = Epitome of Big Blue Toughness
ボブルヘッド@ヤンキー・スタジアム
希少なボブルヘッドがヤンキー・スタジアムで配布されることになった。
えっ?大谷翔平が来るのかって?
No! No! そうじゃない。
確かにそれも手に入れたいが、今回配布されるのは、本当に1度っきりのもの。
あのイーライ・マニングが、ピンストライプを着用しているのだ。
これはジャイアンツのアニバーサリーに乗っかったヤンキースのGreedなビジネスなんかじゃない。
ヤンキー・スタジアムは、れっきとしたニューヨーク・ジャイアンツのホームスタジアムだった時代があるのだ。
しかもそれは、1956年から1973年までの18年間の長きに及ぶもの。
当日は、イーライの始球式も行われるようだ。
愛国者相手の厳しい勝負の中では、際どい精緻なパスを投じた彼だけど、なんのプレッシャーもかかっていない場面では、逆にやらかしてしまいそうで、ちょっと心配になるよね。
NFL100年の最も偉大なゲームは、なんとヤンキー・スタジアムで行われている。
まだスーパーボウルもAFLも存在しない時代、1958年のニューヨーク・ジャイアンツとボルチモア・コルツとのNFLチャンピオンシップゲームがそれだ。
1958 – Colts vs. Giants NFL CHAMPIONSHIP – “THE GREATEST GAME EVER PLAYED” “It transformed the NFL into a national passion.” – George R.R. Martin
伝説のゲームは、ブルックリン・ドジャースがLAに移転してココロに穴の空いた少年たちだけではなく、大人たちも熱狂させ、NFLを国民の情熱に変えたと言われている。
日本ラグビー界で言えば、2015年の南アフリカ戦のような存在なのだろう。
そして、日本のフットボール界においては、いまだそのようなゲームは生まれていない…
ブルーのジャージで出場したスーパーボウルでは、2回連続で勝利を収めたが、3回目で敗戦を喫した。
その後の2回のスーパーボウルでは、ホワイトジャージで2回とも勝利を収めた。
次に出場するスーパーボウルでは、彼らは何色のジャージを着用するのだろう。
Anyway、いつまでも史上最高のゲームがヤンキー・スタジアムのままでは格好がつかないだろう。
現在のホームスタジアムのゲームにアップデートしなければ。
たとえ、そのスタジアムの名前がパッとしないものであったとしても…