データの切り口から、僕らに新しいフットボールの楽しみ方を与えてくれるNext Gen Stats。
2024シーズンからは、タックルが成功する確率をリアルタイムで分析し、タックルの質や、タックルミスの発生を特定できるようになった。
裏を返せば、ミスタックルを誘発させるボールキャリアの存在にもスポットライトが当てられるようになる。
Tackle Probability (and missed tackles)
AWSによるAI と統計モデリング技術の活用
これを可能にしているのは、ここんとこフル稼働でNFLを支え続けているAWS。
2024 Big Data Bowl の優勝者たちが構築したものがベースとなっているようだ。
1 試合あたり数百万のデータ ポイントを処理し、11 人のディフェンダーそれぞれについて 10 分の 1 秒ごとに 20 の異なる特徴を組み込んでタックルの可能性を推定します。ハンドオフまたはキャッチ後のタックル成功の可能性を予測することで、このモデルはこれらの確率を、タックル機会、タックル失敗、グループ タックルなどの詳細な指標に変換します。
次世代統計: 2024 年の NFL シーズンに向けて知っておくべき新しい高度な指標
噛み砕いた説明なんて、情弱の僕には不可能だ。
実際に算出される指標には、次のようなものがある。
- ディフェンダーによるタックルミス
- タックル効率(タックル成功率)
- ボールキャリアによるタックルミス
- 3人以上のディフェンダーがボールキャリアを倒すために貢献する
- グループタックルグループタックルのプレイヤー数(ディフェンスがボールキャリアにどれだけ「群がる」かを示します)
- オープンフィールドでのタックル試行(ボールキャリアの一定半径内に他のディフェンダーがいない)
- タックルされてアウトオブバウンズ(ボールキャリアがアウトオブバウンズに追い込まれる)
- プライマリタックラー(グループタックルのシナリオで開始するプレーヤー)
- ダウンヒルタックルは、ディフェンダーがフィールドの奥からボールキャリアに近づくタックルである。
- アップフィールドタックルは、ディフェンダーがボールキャリアの前進の後ろからボールキャリアに近づく試みである。
- チェイスダウンタックルは、ディフェンダーがボールキャリアの後ろで一定ヤード前進するタックルである。
- タックルミスヤードボールキャリアがタックルミスから次のタックルまでの間に失ったヤード
- ボールキャリアが予想外に失ったキャッチや突進後にセーブされたタックルヤード
- グループタックルの開始からボールキャリアが倒されるまでにボールキャリアが獲得したヤード数
Beyond the box score: AWS and NFL AI-powered Tackle Analysis
いわゆる守備の集まりの良さなんてものも、これなら数値化できるかもしれない。
そして、そのタックルがセーブしたのは何ヤードで、ミスタックルで何ヤード喪失したのかも可視化出来るだろう。
さらに、ミスタックルを誘発させる危険なボールキャリアの存在も…
このデータは、開幕第1週から脚光を浴びることになる。
49ers RB ジョーダン・メイソン
チームの大黒柱 RUN CMCが怪我で不在の中、チームを支えたのは、ドラフト外で入団して3年目のRB ジョーダン・メイソンだった。
147ヤードも稼ぎ出した理由が、このデータにあらわれている。
Our new Tackle Probability model can evaluate a ball carrier's ability to evade tackles.
— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 10, 2024
In Week 1, @49ers RB Jordan Mason led the league with 13 missed tackles forced—five more than the next closest ball carrier.
📸: Week 1 Leaders in Missed Tackles Forced pic.twitter.com/SP4glhvU5h
彼は13回もタックルミスを誘発している。
芯をずらされる、捕まえにくい、OLD SCHOOLな日本語で、そう表現される選手たちが存在するが、それが可視化されたのだ。
もしバリー・サンダースが現役だったら、どんなスコアを叩き出すのだろうか…
クリスチャン・マカフリーの復帰は当初より遅れるようだが、49ersは不安を感じることはないだろう。
なにしろ彼が復帰しても、ワンツーパンチもありだよねという声も出ているのだから…
シフトとモーションの詳細な分類
今日の NFL では、オフェンス側がディフェンス側に対して優位に立つために、スナップ前の動きに頼る傾向が強まっています。Next Gen Stats ツールボックスに最近追加された「オフェンス シフトとモーション分類」は、こうした戦略を解読するためのものです。
次世代統計: 2024 年の NFL シーズンに向けて知っておくべき新しい高度な指標
はるか太古では、モーションは本当に特別なものだった。
バランスの変化に対応できず、ミスった守備の穴を突くなんてことをやっていたけれど、現在ではモーションのない攻撃の方が珍しいし、守備だって眉ひとつ動かさずにチャッチャと対応してる。
前述の49ersのゲームでいえば、モーションを使用した割合は実に90%。
The 49ers offense featured motion on 90% of plays against the Jets (62 of 69), the 2nd-highest motion rate of any offense in Week 1 (behind the Dolphins, 91%).
— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 10, 2024
The 49ers featured multiple motion men 28 times, 10 more than the next closest offense in Week 1.#NYJvsSF | @49ers
タイミングとしても、シフト、モーション、スナップ時のモーションに分類される。
そしてモーションも、その動きによってバリエーションが存在する。
それらを詳細に分析して把握できるようになった。
NGS はフライ、ジェット、グライド、オービット、エグジットなどの高度なモーション タイプを発表し、それぞれがスナップ前の分析にさらなる細分性をもたらします。これらのプレイ コールの頻度と有効性を調べることで、この新しい指標は NFL 攻撃の創造性と実行に光を当て、チームがスナップ前にどのように成功に向けて準備を整えているかをアナリストとファンに明確に示します。
次世代統計: 2024 年の NFL シーズンに向けて知っておくべき新しい高度な指標
Next Gen Statsが充実してくることで、ライブなプレイを見るだけでは済まなくなる。
チェックしなきゃいけない項目がどんどん増えていく。
でもそれは、悪いことじゃない。
あの、すごいプレイを、違う角度から反芻できるのだから…
ただ、今いちばん気になる数字は、大谷翔平の54/57ではあるけれど…