Movie & TV / テレビ東京

「日本ボロ宿紀行」平成という昭和の長い尻尾

平成が終わって、はじめて昭和が終わる。
平成は、昭和の長い長いシッポだった。
だから昭和と平成の代名詞とも言える二人のランデブーは、僕らも乗っからなきゃいけない時代の締めくくりというやつなのだ。

篠宮春子(深川麻衣)27歳は、父・一平が急死したことにより芸能事務所スプリングロールを引き継ぐことに。しかし、所属していたタレントはほとんど辞めてしまい、残ったのは48歳の一発屋ポップス歌手・桜庭龍二(高橋和也)だけだった…?かつて大ヒットしたものの大量に売れ残ったCDを売り切るため、二人はスーツケース一つで地方営業の旅に出る事に。地方で出会う各地の“ボロ宿”を巡りながら、春子はやる気はないがプライドだけは高い龍二を、もう一度人気歌手にすることができるのか?凸凹コンビの一発逆転成り上がりストーリーが今始まる!!

情報源: イントロダクション(原作情報・Pコメント)|ドラマ25 日本ボロ宿紀行|出演:深川麻衣 高橋和也 テレビ東京

昭和と平成のランデブー

昭和の上澄みでモノゴコロがつき、味をしめたことのある桜庭龍二と、平成のモノゴコロしか知らない篠宮春子。
この二人はボロ宿に対する反応がまるで違う。
春子にとっては日常なかなか目にすることができない貴重なもの、なんだったらカワイイものである。
しかし、龍二にとっては生まれてこのかたずっと目にしてきたなじみのある光景。
そんなボロくてダサいもの捨てちゃおうぜ!
と、ある時期の日本人が打ち捨ててきたものたちだ。
いくら「カワイイ!」の使用範囲が平成以降たいそう広くなったとはいえ、レトロ感も感じられないただのボロい物の写真を撮り続ける春子を龍二は、とてもじゃないが理解できない。

共感できないものは、もうひとつある。

春子は、勝ちを知らないかわりに負けたこともない。
龍二は一発だけとはいえ勝ちの甘さを知り、だからこそより強くなる負けの苦味が身に沁みている。
勝とうとするなら、また負けの苦味を味わう覚悟がいる。
そうしたこともわからずに責め立てる小娘は荷が重い。
が、そうしたことがわかってしまった人は、人を駆り立てることができなくなってしまう。
今この怖いもの知らずの小娘の言葉に自分を突き動かさなければ勝ち負けどころの問題じゃなくなってしまう。

そして二人は、ショボい営業とボロ宿の旅を続けていく。

実在のボロ宿

登場するボロ宿は実在のもので72時間で話題になった公楽園が第一話に登場していた。
昭和にモノゴコロがついた僕としては、かつてあちこちに存在し見かけなくなったような、日本人がオシャレになっていく中で打ち捨てていかれたものたちの記憶が蘇る。
春子と龍二にくっついて、平成と昭和の走馬灯を見ているようだ。

平成が終わって、はじめて昭和が終わる。
平成は、昭和の長い長いシッポだった。
だから僕は、今しみじみと昭和の終わりを噛みしめている。
タイムリーに始まったこのドラマで、走馬灯を見ながら「これまで」を締めくくってみようと思ったりなんかしてるわけで…

「星の宵」ようやく配信開始

エンディングで流れる、寂寥感あふれる初恋のテサキの「星の宵」がようやく配信された。

待ちに待ったというところ。
僕はApple Musicで聴かせていただきます。

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