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STAR WARS THE RISE OF SKYWALKER

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」とジョージ・ルーカスの「テセウスの船」

長く、聞き覚えのあるエンドロールを全て観終わった時、あまり経験したことのない感覚に襲われた。
きっとそれは感慨と呼ばれるものなのだろう。
感慨深いなんて経験をしたことのない僕にとって、そう定義づけるのが正確かどうかはわからない。
しかし、いまは、他に呼べるものが見つからない。
ただ、確かなのは旅が終わったということだ。
そう、「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」と呼ぶより、エピソード9と呼んだほうがしっくり来るその映画をついに観終わってしまったのだ。

長い旅だったとはいえ、こちらは映画館のシートに座りっぱなし。
せいぜい観る場所と、その環境の変遷を体験したくらいだ。
映画館と呼ばれたものがシアターという名前に変わり、キーキーいうような座席から随分と座り心地のいいシートにアップグレードされ、インターネットという便利なものの出現で、立ち見なんぞとは縁を切ることができた。
ただ、そのシートに座ったまんま、何度ハイパースペースにジャンプしたかはわからない。
銀河を跨いであっちこっちを飛びまわり、過去と未来も行ったり来たり。
エピソード4とも、新たなる希望ともサブタイトルのついていないただのスター・ウォーズを、暗記するくらい繰り返し観ていた僕に話してやりたいことはたくさんある。
勧善懲悪のクラシックなスペースオペラだと信じていた彼は、I’m your father!の一言に椅子から転げ落ちそうになっているはずだ。
インターネットのない世界で、月刊スターログの、とてもリアルタイムとは呼べない情報だけを頼りに、その先を見通そうとするのはあまりにも心細いじゃないか。
そして彼に、ウワサに過ぎなかった、ダース・ヴェイダーが自らの体を機械化するきっかけとなった火山の決闘も、エピソード9もしっかりと映像化されるよと伝えてあげよう。
ただし、「理力」と言われているものは、そのうちフォースと修正されるから、早いうちに慣れておこうね。

ルーカスの「テセウスの船」

そう、エピソード9で完結するという物語のサイズは、当初、ジョージ・ルーカスが書き上げた脚本と変わらない。
しかし、その内容は、どうだったのだろう?
彼が思い浮かべたテセウスの船は、思い通りの姿で港に到着したのだろうか。

テセウスの船(テセウスのふね、英: Ship of Theseus)はパラドックスの1つであり、テセウスのパラドックスとも呼ばれる。ある物体(オブジェクト)の全ての構成要素(部品)が置き換えられたとき、基本的に同じであると言える(同一性=アイデンティティ)のか、という問題である。

情報源: テセウスの船 – Wikipedia

現在のエピソード9にケチをつけようというわけじゃない。
これはこれで楽しめたし、満足している。
ただ、当初の船のカタチ、物語はどうだったんだろうと気にはなる。
それはもう、面白いとか面白くないとか、映画の完成度がどうだとかの問題じゃない。
ただただ、スター・ウォーズが海のものとも山のものともつかない頃に、彼が独りで書き上げた船のカタチが知りたいのだ。
そもそも、世界最大規模の自主制作映画と言われるスター・ウォーズ。
ルーカスが老後の楽しみにオリジナルのものをこしらえてくれないだろうか。
世界一有名なネズミをマネジメントする、あの契約に厳格な会社が許すはずもないか…
かれこれ40年以上も付き合ってきた僕としては、追加で何年か待つくらいのことには、すっかり慣れっこになっているんだけれど…

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