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STAR WARS THE RISE OF SKYWALKER

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」と「フォースのらせん構造」

「フォースにバランスをもたらす者」アナキン・スカイウォーカーは、エピソード6で見事に帰還を果たす。
自らをダークサイドに引きずり込んだダース・シディアスをも倒し、フォースにバランスはもたらされたはずだ。
では、エピソード7以降の最後の三部作は、新たに崩れ出すバランスの物語のはずだ。
ところが、そうではなかった。
エピソード9を観終わった今わかるのは、アナキン・スカイウォーカーの帰還だけでは、それは完結していなかった。
フォースは、自らのバランスを取り戻すために、実に長いシナリオを用意していたのだ。

「新たなる希望」アナキン・スカイウォーカー

アナキンは、何の前触れもなく、この世に誕生した。
彼は処女懐胎のように、突然、母親の胎内に命を宿した。
バランスが崩れていくことを危惧したフォースが、自らのバランスを取り戻すために送り出したのがアナキンなのだ。
そう、フォースにとっての「新たなる希望」は、アナキンだった。
正確にいえば、彼はその種子だった。
ジェダイ・オーダーが、シス・オーダーを殲滅するだけでは、バランスを取り戻したことにはならない。
そもそも、ジェダイ・オーダーも、自然の摂理に反し、フォースに背いていたと言えるだから。

ジェダイ・オーダーの失敗

エピソード8で、ルークがジェダイ・オーダー失敗の原因について語る。
「フォースは万物に存在する。それなのに、ジェダイはそれを自分たちだけのものだと思い上がってしまった。」と。
ジェダイは、その掟として結婚さえも許していない。
結婚し、子供を育み、その流れを紡いでいくという人間の、自然本来の営みを否定しているのだ。
邪悪なシス・オーダーを全て葬り去ったとしても、この自然界とは反する掟を守ったままの集団が繁栄することは、フォースにとっては、そのバランスを崩されたままなのだ。

https://kyloren.tumblr.com/post/190914488721/i-will-finish-what-luke-started

フォースのらせん構造

アナキンは、人間味が強かった。
その強い感情で、愛にも憎悪にも反応した。
それゆえ、ダース・シディアスにつけ込む隙を与えてしまったのは、彼にとっては不幸としか言いようがない。
しかし、フォースにはジェダイ・オーダーの掟を破り、自らの子供を育む存在が必要だったのだ。
ジェダイ・オーダー、シス・オーダー、それぞれを瓦解させ、そのケリをつけさせるのは、弟子ではなく、それぞれの血を受け継ぐ子孫たちだ。
パルパティーン、スカイウォーカー、それぞれの末裔に、光と闇の立場を入れ替えさせながら収束に向かわせる。

こうして、パルパティーンの血を受け継ぐレイは、教えを受けたスカイウォーカーを名乗る。
その子供であり、その弟子である彼女。
血肉をわけたという完璧に自然な存在と、弟子という観念的な存在。
そのひとつのカラダに、それが同時に存在することこそ、フォースのバランス。
フォースが自らのバランスを取り戻すために用意していたのは、実に長いシナリオだった。
そして、そのシナリオの構造は、奇しくもDNAのようにらせん構造になっていたのだ。

もうすでにテミリ・ブラッグのような子供たちは、生まれはじめている。
彼らが、ジェダイでもシスでもなく、自然に生きて行けること。
それこそが、フォース自身の願いなのかもしれない。

Temiri Blagg leads a forlorn existence in the shadows of Canto Bight’s wealth, caring for fathiers in stables ruled by the iron-fisted groom Bargwill Tomder. Temiri dreams of a better life somewhere among the stars. When two desperate Resistance fighters cross his path, he must make a crucial choice.

情報源: Temiri Blagg | StarWars.com

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