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「雪女と蟹を食う」デスパレートな繊細さ

まさかテレ東の、しかもアノ金曜日の深夜の時間帯のドラマに、こんな感情を味あわされる日が来るとは夢にも思わなかった。
雪女と蟹を食うは、強い確信を持った女と不安定で脆弱な男のロードムービー。

テレビ東京 ドラマ24「雪女と蟹を食う」オフィシャルサイト。人生に絶望した男とセレブ妻2人を結び付けたのは、蟹だった――。WEBで200万部突破の人気コミック「雪女と蟹を食う」が主演・重岡大毅(ジャニーズWEST)×共演・入山法子でドラマ化!

情報源: 【ドラマ24】雪女と蟹を食う | テレビ東京・BSテレ東 7ch(公式)

星の雨

まずは主題歌だ。
いい歳の男の僕にとって生活の中にジャニーズ要素は一ミリもない。
そんな僕が、曲を聴いた瞬間ひきこまれてしまったのは夜空ノムコウ以来のことなんじゃないだろうか。
ドラマのせいで曲にひきこまれるのか、曲のせいでドラマにひきこまれるのか、その線引きは曖昧だ。
相乗効果というやつなのかもしれないが…

不安定で脆弱な男

ひきこまれてしまったもうひとつの理由は、この不安定で脆弱な男だ。
まったく希望を見出せない人生に、もうそれを終わりにすることしか考えられない。
そのくせ自殺する踏ん切りもつけられない。
思いあまってやらかしてしまった強盗未遂でさえ、悪人にすらなりきれない。

絶望と希望がページをめくるように一瞬で入れ替わる不安定さの土台に脆弱さがある。
そうして演じている重岡大毅を見ていると本当に不愉快になる。
それは、彼がエネルギー高くそうした男を演じているからなのだが…
見せつけられる脆弱さが、見たくない自分の弱さを思い出させる。
そのことが、僕をひどく不愉快にさせているのだ。

強い確信を持った女

そんな男に強盗未遂の目に遭いながら、一瞬で受容する女。
恐れて従ったのではない、強く包み込んだのだ。

約束の地、北海道で蟹を食べ、ともに死を迎えるという奇妙なロードムービーは、そうして始まった。
しかし、ただただ死にたいという男と違い、彼女は別の目的も持っているようだ。
そうして負の目的に向かうことに一切の躊躇がなく、強い確信を持っている。

もうひとりの強い女

順調に北海道に辿り着いた二人だが、ふとしたことで離れ離れになってしまう。
そこで男は、もうひとりの強い女に出会うことになる。

マリアも彩女のように強い確信を持った女だ。
しかし、ベクトルがまったくの正反対なのだ。
マリアは絶対的に「生」を肯定する日向の女だ。
そうして彼女もまた、男を包み込んでしまう。
そのことに男はまだ気づいていないが…

順調に約束の地に辿り着いた二人は、会えなく離れ離れになってしまった。
そして旅の目的を真っ向から反対するマリアという強い女の登場で、この旅の終わりがまったく予想できないものになってしまった。
ほとんどのキャストを初めて見る僕が、まさかテレ東の、しかもアノ金曜日の深夜の時間帯のドラマに、こんな感情を味あわされる日が来るとは夢にも思わなかった。
しかも、物語の展開を心待ちにしてしまうとは…
どのような結末を迎えるのか見届けるしかないんだろうね。
そして今現在、彼らはまだ蟹を食べることができていない…

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