以前、お店でたまたま見かけて以来気になっていたZIPPO 1941 レプリカ ユーズドモデルをついに手に入れた。
インチキをしたのだ。
いや、正規のモデルを、きちんと対価を支払って、日本中の嫌われ者である10%の消費税もきちんと上乗せして手に入れたのだから、手続き自体は正当だ。
問題は僕が買おうとしたもの。
それは、たとえAmazonでさえも取り扱っていない、時間というものだ。
プレーンなモデルを買っては、自分なりに育てていこうとしたことは何度もある。
だんだんと傷が増え、ゆるく開閉できるようになる頃には、思いがけない「へこみ」を見つけるようになる。
しかし、それにしたって変化は穏やかでささやかだ。
思ったように経年変化をしない様子に、さすがZIPPOと敬服もするが、自分の一生という時間だけでは足りないことも痛感させられた。
だから、その時間を端折っちゃおう。
何十年分かに相当するであろうダメージを、上乗せで払うから売って頂戴というチートに頼ることにしたわけだ。
ZIPPO 1941 レプリカ ユーズドモデル
がっつりダメージ加工された外装に比べ、インサイドユニットはピッカピカ、フェルトも真っ白。
ま、新品なんだから当たり前なんだけど。
長く使おうと思うなら、加工以外は、まっさらの新品であるというのは安心できるポイントだ。
1941 レプリカモデルの適度な丸みとサイズ感は、しっくりくる。
だから今回も迷わず、このタイプから選択することにした。
時間ではなく素材
あらためて、このZIPPOを眺めてみて思うことは、完成されていないということだ。
丁寧に加工されたダメージは見ていて面白いし、不満はない。
しかし、時間を伴ったユーズドというところまでは昇華していない。
なんというか、味わい深さまでは感じることができないのだ。
だが、逆に言えば、この先が楽しみだ。
ユーズド加工が、ひとつずつ手作業で施されているという点から考えれば、この状態でフィニッシュされているZIPPOは世界でただひとつ。
時間を買おうとした僕のチートは失敗した。
でも、僕固有に加工されたZIPPOを手にれることができた。
それは、この先、長い時間を経る中で、より強いオリジナリティーを発揮できる素材なのだ。
だから、この記事のタイトルも訂正されなければならない。
「買ったのは時間ではなく素材」であると。
ZIPPO(ジッポー) ライター 1941 レプリカ ユーズド