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『天職』秋元康 鈴木おさむ レビュー 「イタさ」と夢の種

天職に就いていると言い切れる人が、いったいどれほどいるのだろうか?
その職業に就いていて、今が楽しいと言い切れる人達が。

放送作家になりたくてなった鈴木おさむと、東大から官僚というコースに挫折しアルバイトで放送作家を始めた秋元康。
そして今は天職に就いていると言い切る二人。
この本は、その二人の対談集である。
業界特有の話も多いが、妙な謙遜も成功者特有の教訓めいたものもなく、とても率直に「天職」に就くということについて語られている。

「98%は運で決まる。」

「努力は必ず報われるわけではないし、何の努力もしていないのに偶然のスポットライトを浴びる人達もいる。 運命の力は自分でどうなるものでもない。」

「でもかなわない夢も実際に、たくさん見て来ましたよね。放送作家でも、放送業界でも。枯れて落ちてしまったたくさんの花の上を、僕らは歩いている。」

ほうらやっぱりね、なんだ運がいい人たちの自慢話じゃないかと言う前に、自分がどれほど「天職」に就くこと、好きな事をやり続けるということに向き合ってきたのかと自問をしてみるべきだろう。
もっと言えば、好きな事と聞かれて即答できる自分がいるだろうか?

夢を持てとは言われるけれど、いやいや好きなことでは飯は食えないし、夢は叶わないから夢なんだよ。
と言う前に、本気でソレに向き合ってきたのか?
空っぽな自分を抱えているくせに、あちこちにぶら下がっている「運命の糸」を引っ張って見ることもしない。
「どーせ、僕なんか。。。」
夢の種を夢に育てる努力。
楽しく生きていくことに真剣に必死に向き合う。
こうしたことにいつから背を向けてきたのか。

『やっぱり夢を叶える最初の一歩は「イタさ」じゃないですか。 親やまわりに無理と言われてもそこに進める「イタさ」。 信じぬける「イタさ」っていうか。』

「イタさ」が足りない。
イタくなるほどの必死さ、自分への誠実さ。
世間の嘲笑がコワイばっかりに愛想笑いを浮かべながら「まあ、こんなもんだろう」と日々をやり過ごし、一番大事な自分を裏切り続けていく。
自分の大切な人達も巻き添えに。
世間の嘲笑を恐れて自分のための闘いを放棄するなら、もとよりそれは存在していないのと同じ事なのに。
闘わなければ嘲笑されることもない代わりに、誰にもその存在を認知してもらえない。
自分自身からさえも。

何もわかっていないくせにわかったようなことを言い、成功した人には妬むことしか出来ない世間に振り回されてどうする?
運があるかどうかは、わからない。
努力が報われるかどうかは、わからない。
ただやる。
報われることがわかっていることしかやらないっていうのは不純だ。
最後は運しだいなんだろうけど、それは、あとになってみなければわからない。
絶対にリターンが得られる投資なんて、詐欺師のうまい話の中にしか存在しない。
成功の確率は統計としてはパーセンテージが出るだろう。
しかし、自分がどっちに転ぶかは二つに一つ。
成功するかしないかのどちらかでしかない。

ファイト!戦う君の唄を闘わない奴等が笑うだろう

勝つか負けるかそれはわからない

それでもとにかく闘いの 出場通知を抱きしめて…

中島みゆきをBGMに闘いの場に赴かなければならないのだ。
闘わずに砂漠化していくのなら、たとえ負けても海になったほうがマシだ。

早いうちに読んだほうがいい。
若ければ若いほど。
「やりたいことの種」が「夢の種」が死んでしまわないうちに。
そして「ひょんなことから」読んだこの本が、もしかしたら「運命の糸」を引っ張ることにつながるかもしれない。

みんなに見つけて欲しいのは、

チャンスの入り口です。

引用元: 秋元康 – Google+ – 僕がチャンスを作っているのではありません。 僕からのチャンスを待っている間はだめですね。 「私だって選抜に入れば…」….

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