ロサンゼルス・ドジャースがリングセレモニーを実施。
2024 World Series Championship Ring をお披露目した。
製作したのは、スーパーボウルリングでお馴染みのJostens。
情報と宝飾が詰め込まれたソレはラグジュアリーなタイムカプセルだ。
ラグジュアリーなタイムカプセル
ただゴージャスさを求めただけではない。
そのデザインには意味がある。
いや、もっと正確に表現すれば、そこに刻まれているのは情報だ。
8度目のチャンピオンであることを誇示する8個の大きなダイヤモンド。
5戦目で優勝したことも、ダイヤモンド数で示されている。
そしてワールドシリーズに至るまでのプレイオフの戦績も。
さらには、ワールドシリーズで実際に使用されたベースのピースも収められている。
ロサンゼルス・ラムズが3年前にスーパーボウルリングを拵えたとき、SoFiスタジアムの人工芝とゲームボールのピースが封入された。
現物使用は、あれ以来だろうか…
LAのチームは、現物好きというわけでもないだろうが…
38年ぶりにLAにロンバルディトロフィーをもたらしたロサンゼルス・ラムズが、スーパーボウルリングを披露した。 チーム史上2つ目となるスーパーボウルリングは、長く親しんだLAに戻ってからは初めてのものだ。 そこに詰め込まれた情報量の多さに、これはもう指につけるミュージアムと言っていい。
ロサンゼルス・ラムズがスーパーボウルリングをお披露目 「指の上のミュージアム」 | ALOG
昨年、カンザスシティ・チーフスが製作したスーパーボウルリングには、勝利を決定づけたプレイのチャートが記されていた。
これはやっぱりフットボールならではなのだろう。
オーバータイムにまでもつれ込んだそれは、A duel for life。まさしく人生を賭けた決闘だった。それに終止符を打ったのが、「トムとジェリー」とコールされたプレイだった。印象的だったのは、そのユーモラスなネーミングではない。このプレイの開始まで、彼らは残り6秒になってもタイムアウトをとるそぶりさえ見せなかった。彼らは、確信を持って、このプレイに臨んだのだ。これで必ず決めると。そのプレイチャートが、アンディ・リードの直筆により、リングに記されている。
カンザスシティ・チーフス 4つめのスーパーボウルリング「彼女の帰還」 | ALOG
このリングで、もう一つ印象的だったのは、スーパーボウルの生みの親、ラマー・ハントを支えた妻、ノーマ・ノーブル・ハントの頭文字が寄り添うように加えられたことだ。

カンザスシティ・チーフス 4つめのスーパーボウルリング「彼女の帰還」 | ALOG
なにせスーパーボウルのヒントとなったスーパーボールを、ダラスの玩具屋さんで子供に買い与えたのは彼女だったのだから。
カンザスシティ・チーフス 4つめのスーパーボウルリング「彼女の帰還」 | ALOG
そうして彼女がいない初めてのスーパーボウルで、その死を悼み、名前を刻んだのだ。
先人にリスペクトを以って、その死を悼むのは、フットボールも野球も共通だ。
このドジャースのリングにも、ソレが刻まれている。
#34 フェルナンド・バレンズエラ
背番号34がドジャースの永久欠番に指定されているのは、フェルナンド・バレンズエラが着用していたからだ。
メキシコからやってきたロクに英語も喋れない男は、アメリカのマウンドに上がると、その左腕でフェルナンド・マニアを生み出し、サイ・ヤング賞とルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞したMLB史上初めての投手になった。
ワールドシリーズ直前に亡くなった彼を悼み、ドジャースは、ワールドシリーズから2025年シーズンを通して、そのパッチをつけたユニフォームを着用する。

Dodgers to wear Fernando Valenzuela patch in World Series, 2025 season
リングには、背番号通りの34個のサファイアが、輝いている。
そうしてリングに、情報だけではなく、記憶というものが加えられた。
先人たちにリスペクトを以て、それをカタチで表す。
スポーツが文化にまで昇華したアメリカの、そういう一面は好きなところだ。
今日、リングを受け取った選手たちも、やがてパッチになり、リングに刻まれる日が来るのだろうか。
もっとも、そうならないからといって忘れ去られることなどないだろう。
誰一人の記憶にも残らない選手など、いようはずがないではないか…
