M1911からM45A1へ:海兵隊が45口径を手放さなかった理由

コルト・ガバメントがM1911というナンバーを与えられたのは、1911年に米国陸軍に正式採用されたからだ。
1985年に、ベレッタ92にM9というナンバーが与えられて取って代わられるまで、実に74年間ものあいだ、制式拳銃のお役目を果たしたことになる。

だが、海兵隊のひとつの部隊だけは、どうしても、この45口径を手離さなかった。
フォース・リーコンと呼ばれる海兵隊の武装偵察部隊だ。

The Pistol the Army Retired in 1985 — and the Marines Carried Until 2022

即応の殴り込み部隊

現在の海兵隊とは、ひと口で言えば、即応の殴り込み部隊だ。
そのために、陸海空軍の全機能を、全て自前で備えている。
世界のどこかでナニカが起きれば、即座にハイブリッドなタスクフォースを遂行しなければならない。

今年、彼らは、創設250周年を迎えるからだ。 そして、彼らの誕生の地は、フィラデルフィアだった…

2025 第59回 スーパーボウル Flyover 「フィラデルフィア生まれの海兵隊」 – ALOG

その殴り込み部隊の先鋭であるのが、武装偵察を行うフォース・リーコンなのだ。
そんな最前線のエッジにいる者が、マンストッピングパワーに不安のある9mmを使うなどありえないということなのだろう。

そもそも、アメリカ陸軍が45口径の採用に至ったのは、フィリピンのモロ族との戦闘で、38口径のマンストッピングパワー不足を痛感したからだ。

さらに、1986年には、マンストッピングパワーの重要性を痛感させられる、マイアミにおける伝説の銃撃事件も発生している。

まずは、そのきっかけとなった1986年のマイアミにおける伝説の銃撃事件を振り返ってみよう。

FBIの9mm回帰:「マンストッピングパワー」という神話の終わり – ALOG

MEU(SOC) pistol

MEU(SOC) pistol – Wikipedia

そうして、このフォース・リーコン用の45口径を、なんと、クアンティコ基地内で内製し、自前で用意していたというのだ。
第二次世界大戦からのシリアルのフレームを土台に、民間用に販売されているパーツを組み合わせて、1万発ごとに基地に戻されてメインテナンスを行うというフロー。
そうした内製化されたMEU(SOC) pistolは、実に789丁に及んだらしい。

M45A1

だが、いかに頑丈な1911フレームとはいえ、寄る年波には勝てず、ついにコルト社へ新品が正式発注されることになった。
そうして、そいつにはM45A1のナンバーが与えられることになった。

Hard used USMC M45A1 pistol

111年目の退役

2014年にFBIが作成したFBI 9MM Justificationという内部報告書によれば、マンストッピングパワーという神話は正式に否定された。
口径よりも弾頭選定の方が重要であると。

海兵隊も、フォース・リーコンも、いよいよ9mmを制式使用することになる。

そうして見事に退役を果たしのは、なんと2022年。
M1911のシリアルを思えば、111年もお務めしていたことになる。
まさしく、Thank you for service.

アメリカ人が45口径にこだわるのは、それが開拓史以来の郷愁をくすぐるモノだからだと思っていた。
だが、こうして歴史を振り返ってみれば、それは極めてプラクティカルなチョイスだったのだと実感する。

だが、最後の最後には、魔法の一撃という神話が、最前線に立つ者の御守りの役目を果たしていたに違いない…

コメントを残す