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NFL 2022 NFC Championship Game 49ers vs Eagles 「Irrelevant Bowl」

by 十一
2023年1月31日
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満を持して行われたサンフランシスコ・フォーティーナイナーズとフィラデルフィア・イーグルスのNFC Championship Game。
気楽な観戦者として言い切ってしまえば、近年稀に見るつまらない試合だった。
ブロック・パーディが怪我したからしょうがないじゃないって？
それだけが原因というわけではないんだよね…

初めてづくしのMr. Relevant

第13週に出場を果たして以来、ブロック・パーディは、ここまで無敗だった。
Mr. Irrelevantだったルーキーは、チームの命運を握る存在になっていた。
この日、NFLに加入して以来の初めてのファンブルを記録すると、実質的には、それが彼のラストプレイになってしまった。
そうしてQB 1として、初めての敗戦を味わうことになる。

重篤な負傷を負ったようには見えなかった。
指でも痛めたのかなと思っていたら、尺骨側副靭帯を損傷した可能性があるというシリアスな事態に見舞われていた。

パス失敗の判定はリプレイでひっくり返り、彼の初めてのファンブルとして記録されることになる。

これがファンブルであるのなら、タック・ルール・ゲームのアレも、ファンブルだろうと今更ながら思う。
もし僕が陪審員ならば、チャールズ・ウッドソンの言い分を支持するところだ。
トム・ブレイディにはツキが味方したが、ブロック・パーディにはツキがなかった。
しかし、彼の第1章は上々の滑り出し。
次のチャプターにも大いに期待が持てる。

いつも不敵な面構えで表情を崩さない彼は、この日も堂々としたプレイぶりだった。
何も出来ずにチームが敗退していく様をQB 1として見つめる彼の心境は、如何ばかりだっただろう。
だが、チームメイトは、ここまでチームを引っ張ってきた彼に感謝の念しか持っていない。

QB 4

パスを投げられなくなったブロック・パーディに変わって登場したのが、ジョシュ・ジョンソン。
今シーズンの49ersにおいて、実に4人目のQBだ。

昨シーズン、ニューヨーク・ジェッツでスクランブル出場を果たすと好パフォーマンスを見せていた。
それだけに僕の期待も大いに高まった。
しかし、効果的なプレイが見せられないまま、今度は脳震盪で、2度とフィールドに戻ってくることはなかった。

当初のQB 1を失い、QB 2を失い、QB 3でシーズン後半を勝ち抜いてきた49ers。
しかし、この日、QB 3とQB 4を立て続けに失うことになった。
ひとつのゲームで…

49ersのプロテクションが特別悪いとは思わない。
そしてQBのランをガチガチにプレイブックに盛り込むようなチームでもない。
ひとりだけ、パスを投げるという特殊な動作が求められるQBというポジションの特性が大きな理由なのではないだろうか。

弓を引くように体全体の力を溜めて解放する。
その一連の動作の中では、大きなヒットを受けなくても、ダメージを受ける可能性が高まるのだろう。
そしてもちろん、ヒットに対して身構えることもできない。
たとえワンプレイだけでも、ささやかなコンタクトでも、QBはQBとしての機能が損なわれてしまうということだ。

こうして49ersのオフェンスは崩壊してしまった。
QB 5を用意しておくべきだった？
ワイルドキャットのパターンを豊富に持っておくべきだった？
それは、どれも現実的ではないように思える。
序盤のたったひとつのストリップ・サックでゲームが壊れていく悲運に、ただじっと耐えるしかない。
そんな気分を、我らがジョージ・キトルが簡潔に表現してくれている。

RUN CMC

イーグルスのラン攻撃が事前に評価されるなか、この日、誰よりも走ったのはクリスチャン・マカフリーだった。

もはやラン攻撃しか選択肢が残されていない49ersにおいて、AWSの機械学習が4ヤードと予測したプレイに19ヤードも上積みしてエンドゾーンに持ち込んだ。
このプレイがTDにつながる確率は1.1%しかなかったというのに…

今シーズン、自身のパスによるTDを記録しているクリスチャン・マカフリーは、この日もワイルドキャットから果敢に挑んだが、残念ながら成就しなかった。
しかし稼いだラッシングヤードは84ヤード。
この日のイーグルスのボールキャリアの2人分を稼いだことになる。

主役は49ers 守備

この日、ゲームを動かした主役は49ersのディフェンスだ。
彼らは、イーグルスの攻撃を封じながら、しかし、そのドライブを継続させた。

イーグルスのランプレイは爆発することができず、パスにまわれば、リーグで最もタイトにカバーできるチャーバリアス・ウォードの美しいパスカバーの見せ場を作るだけだった。

しかし、イーグルスのドライブが途切れそうになると、49ersが手を差し伸べる。
実に11回、81ヤードにも及ぶ反則が、この日のイーグルスのキープレイと言えるだろう。
だって、それはそうだろう。
クリスチャン・マカフリーが稼いだラッシングヤード、すなわちイーグルスのボールキャリアの2人分のラッシングヤードが加算されたのだから。

それを取るのかという疑問符付きのものから、何かが途切れてしまった49ersのフーリッシュなものまで、実にバラエティに富むイエローフラッグが飛び交った。
しかし、トレント・ウィリアムズのフラストレーションに同情すると言ったら怒られるだろうか…

判定といえば、このプレイだ。

もっとも、これはチャレンジしなかった49ersの問題でもある。
直後のAFC Championship Gameでは、同様のプレイがインコプリートとひっくり返っただけに、甚だ残念ではある。

こうして攻めあぐねるイーグルスが反則をキープレイに、だらだらドライブする。
ランプレイしか来ないことをわかりきっているイーグルスのディフェンスは、ボックスの人数を増やし、迎え撃つ。
パスの脅威もないくせに、見え見えのランプレイを止めたセカンダリーが派手なガッツポーズを見せる。
そうして好フイールドポジションで、さっさとオフェンスに回すと、オフェンスが反則をもらいながらだらだらドライブする。
この繰り返し…
ただただスーパーボウルにいけることが嬉しいだけのスタジアムは、そのたびに沸いた。

内容とその空気感に耐えきれず、もう次のAFC Championship Gameに備えて、途中で打ち切ろうかと思ったが、最後までNFL Game Passで見続けた。
それでも、一瞬のきらめきを期待して…

National Tight Ends Dayの創立者にならって率直に表現したい気持ちはあるが、大人としては、もう少しオブラートに包みたい。
だから、このゲームは、Irrelevant Bowlと名付けておこう。
誤解のないように伝えておくと、これはブロック・パーディに向けた当て擦りではない。
僕は彼に期待し続けているし、何より彼はもう、Mr. Relevantだ。
だからこれは、ゲームの内容そのものに向けてというわけだ。
Championship Gameだというのに、まったく見当外れで、つまらない試合だったよね…

あれ？
もしかして49ersファンになっているのかな？
僕が愛用しているのは、リーバイスではなくLeeなんだけどねぇ…

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