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NFL 2022 DIVISIONAL ROUND 「SF ジャスティス・リーグとMr. Relevant」

NFL プレイオフ史上、最多の対戦となるサンフランシスコ・フォーティーナイナーズとダラス・カウボーイズ。
グレートライバリーと表現するには、生臭い感情がまとわりついている。
拮抗した展開はビッグプレイの応酬を許さず、細かなミスが積み上がったチームがシーズン終了に追いやられることになった。

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LB フレッド・ワーナー

展開は地味だったが、その中にはすごいプレイが隠れている。
このゲームで僕が最も驚いたのは、49ers LB フレッド・ワーナーのパスカバーだ。

最終的にはタンパ2と呼ばれるカバーなんだろうが、スナップ時の彼がいるのはLOS。
そこから30ヤードも下がり、ディープミドルに走り込んだレシーバーをカバーしている。
しかも、SBの位置から走り込んできたのは、カウボーイズ WR シーディー・ラム。

以前、タンパ2のMLBは、いかにもなポジショニングをしていたはずだ。
LOSから、そのカバーを見せるLBを僕は見たことがない。
それとも、見落としているだけで、近頃はよくあることなのか?
このアライメントからタンパ2になることをプレスナップリードで読み取るQBは、存在するのだろうか?

以前、シカゴ・ベアーズの46ディフェンスは、マイク・シングレタリーというスーパーマンがいて、はじめて成立すると耳にしたことがある。
しかし、ここにもスーパーマンがいるということだ。
そして、このスーパーマンはAWSの機械学習が弾き出したパス成功率を30%近くも下回らせている。
さらにランニングプレイでも、予測値を大幅に下回らせている。

こんなディフェンスを相手にしていたダック・プレスコットに、投げミスが多いなどと軽口を叩いてはいけないね。

レイ・レイ・マクラウドのリターン

情報源: Dallas Cowboys vs. San Francisco 49ers Game Images (Divisional Round)

拮抗した展開で重要になるのがスペシャルチーム、そしてフィールドポジションだ。
レイ・レイ・マクラウドのリターンは、予測値を29ヤードも上回る53ヤードのビッグリターン。

しかし、何よりそれが飛び出したタイミングが絶妙だった。
この直前、自陣エンドゾーン直前でパントリターンに出たレイ・レイ・マクラウドは、痛恨のファンブルフォースを喰らってしまった。
拮抗した展開では命取りになり得る痛恨のミス。
しかし、ディフェンスがFGに抑えると、飛び出したのが、このプレイだ。
そのゲームでやられたことは、そのゲームでやり返すしかない。
そう宣言したかのような、ハートの強さが感じられるプレイだった。

Mr. Relevant

これほど短期間でニックネームが変わった選手は、これまで存在しなかっただろう。
2文字軽くなったニックネームと反対に、チームでの重要性は、一気に増したブロック・パーディ。
Mr. Irrelevantだったルーキーは、今ではMr. Relevant!

背番号と同じ第13週に途中出場を果たすと、あのGOATまで破ってしまった。
それに何より、その週以来、49ersは負けていない。

ものすごいビッグプレイを連発するわけではないが、彼は迂闊なプレイでボールを失うことはない。
あきらめる冷静さを兼ね備えている。
世間は早くもネクスト・ブレイディと騒ぎ始めているが、その冷静なプレイぶりを見ていると、僕もそのブームに乗っかってみたくなる。

トム・ブレイディ自身も、ブロック・パーディにメッセージを送っている。

そして先輩のMr. Irrelevantへの挨拶も忘れてはいない。

そうして彼のパフォーマンスは数字にも表れている。
レギュラーシーズンのパサーレイティングは、堂々のTOP!
そしてPassing Scoreも上々だ。

彼が無茶投げをしなくても済むのは、YACに優れたチームメイトに囲まれているからだ。
トラビス・ケルシーほどタッチ数は多くないが、決定的な働きを見せる、ジョーカーを敬愛するTE ジョージ・キトル。

加えてディーボ・サミュエルもいたところに、クリスチャン・マカフリーまでやって来た!

3人目の偉業

クリスチャン・マカフリーが49ersにやって来て、僕は、とってもしっくりくる感じがした。
いや、父親がプレイしていたからというわけではない。

彼はラッシングとレシービングの両方で、それぞれ1000ヤード越えを達成したNFL史上3人目の選手。

そしてそれを最初に達成したのは、あのロジャー・クレイグだ。

Roger Craig: The ORIGINAL All-Purpose Back! | Throwback Originals

ハイニーアクションの爆発的なランプレイも魅力的だったが、この頃の49ersは、トム・ラスマンも含めてRBがガンガン、パスを受けていた。
短くデリバリーしてランアフターキャッチでバリバリ稼ぐ。
そうしてウェストコースト・オフェンスを確立していったチームに、ランでもパスでもガンガン稼ぐクリスチャン・マカフリーが直系の後輩として入団するのが、とても自然に感じられたのだ。
いまだにウェストコースト・オフェンスというコンセプトが現役なのかどうかは、疎い僕にはわからない。
しかし、現在の49ersもYACを武器にしていることに違いはない。

ダブル1000ヤード越えを白人RBが記録する日が来るとは思わなかった。
何を今さらと言われるかもしれないが、ポジションごとのカラーバリアみたいなものって、もう本当になくなってしまったんだろうね。
それは、本当に喜ばしいことではある。

そうして49ersにやって来たクリスチャン・マカフリーは、またも3人目の偉業を達成することになる。
1試合でラン、レシーブ、そしてパスの3つのTDを記録することだ。

そして両方を記録したのは、クリスチャン・マカフリーだけだ。

こうしてみるとスーパーマンがいてジョーカーがいて、これはDCだ。
ジャスティス・リーグだ。
しかも本家にはいない、Mr. RelevantもCMCもいる。
本家のジャスティス・リーグは興行的にふるわなかったが、SF ジャスティス・リーグは、どんな結果に終わるのだろうか…

 

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