Mr. Irrelevantとしてリーグに加入した男は、重要人物どころか、もはや替えの効かない存在になっている。
危ぶまれた怪我から見事に開幕戦で復活を遂げたブロック・パーディ。
第3週、満を持してホーム開幕戦を迎える彼にニューヨーク・ジャイアンツが浴びせたのは、Next Gen Stats史上最多のブリッツの雨。
Blitz rate 84.6%
The Giants blitzed Brock Prudy on 33 of his 39 dropbacks (84.6%), the highest blitz rate in a game in the NGS era.
— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 22, 2023
Likewise, Purdy averaged the fastest time to throw of his career (2.34 seconds).
💡 Purdy vs Blitz: 20/31, 247 yards, 2 TD
Powered by @awscloud pic.twitter.com/GDUCG9NK6A
スナップを受けるたび、ほぼブリッツを浴びていたパーディーは、平均2.34秒のクイックで確実なデリバリーを見せ、動じることはなかった。
YAC!
パーディーが動じることがないのは、ランアフターキャッチに優れた武器を豊富に抱えているからだ。
The 49ers gained 215 of their 310 passing yards after the catch (69.4%) in their 30-12 victory over the Giants.
— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 22, 2023
Deebo Samuel (+613, 1st), Christian McCaffrey (+278, 1st) & George Kittle (+257, 2nd) all rank in the top 2 of their position in YACOE since 2021.#NYGvsSF | #FTTB pic.twitter.com/iOZlcfRfx6
彼らは、ただのスラントを、ただのフラットを、とんでもないゲインを稼ぐ代物に変えてしまう。
Pulled out all the stops on primetime!
— San Francisco 49ers (@49ers) September 22, 2023
🎥 @NFL pic.twitter.com/vRKQ0YQysy
短くデリバリーして、ランアフターキャッチでガンガン稼ぐという往年の49ersの姿を思い出す。
しかし、パーディーもYAC頼みばかりではない。
セカンドエフォートの必要のないパスを投げる力も持っている。
Brock Purdy & Deebo Samuel (27-yd TD)
— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 22, 2023
🔸 Coverage: Cover 0
🔸 Air Distance: 44.6 yds*
🔸 Completion Probability: 27.4%
*Purdy's longest completion by air distance of his career#NYGvsSF | #FTTB pic.twitter.com/UobgkNSL4e
結果、ブリッツの雨を降らせたジャイアンツの守備に対して、パーディーは、キャリアハイのパッシングヤードを記録することになった。
今後は、パトリック・マホームズのようにBlitz rateの極端に低い扱いを受けるんじゃないだろうか。
RUN CMC
ブロック・パーディには、地上戦においても頼れる武器がある。
クリスチャン・マカフリーが稼ぐのはランアフターキャッチだけではない。
ランプレイにおいてもAWSの機械学習が弾き出す予測値を大きく超えている。
3週終了時点で、RYOEは109ヤードに伸びている。
そしてキャリア累計のラッシングヤードは、ついに5000ヤードに到達。
そして12試合連続TDの記録は、ジェリー・ライスのフランチャイズレコードと並ぶものだ。
ランでもパスでも1000ヤードを超えた初めての選手はロジャー・クレイグだった。
ハイニーアクションの爆発的なランプレイも魅力的だったが、この頃の49ersは、トム・ラスマンも含めてRBがガンガン、パスを受けていた。 短くデリバリーしてランアフターキャッチでバリバリ稼ぐ。 そうしてウェストコースト・オフェンスを確立していったチームに、ランでもパスでもガンガン稼ぐクリスチャン・マカフリーが直系の後輩として入団するのが、とても自然に感じられたのだ。
情報源: NFL 2022 DIVISIONAL ROUND 「SF ジャスティス・リーグとMr. Relevant」 | ALOG
その直系の後輩とも言える働きぶりに、申し訳ないが、以前着ていたジャージの色を忘れてしまう。
生え抜きのようにチームにフィットし、チームを牽引しているからだ。
僕は、昨シーズンのNFC Championship Game が忘れられない。
ブロック・パーディの負傷により、パスという選択肢が封じられた49ersの攻撃にあって、ランしかない見え見えの状況でTDを奪ったクリスチャン・マカフリーの姿が…
もはやラン攻撃しか選択肢が残されていない49ersにおいて、AWSの機械学習が4ヤードと予測したプレイに19ヤードも上積みしてエンドゾーンに持ち込んだ。このプレイがTDにつながる確率は1.1%しかなかったというのに…
情報源: NFL 2022 NFC Championship Game 49ers vs Eagles 「Irrelevant Bowl」 | ALOG
チャンピオンシップの忘れ物
あんなにやるせないゲームを見たのは初めてだった。
ブロック・パーディが、初めてボールを失った試合だ。
あれがファンブルなら、GOATのアレの方が明らかにファンブルだ。
彼は、このファンブル以外、現在に至るまで、1度もボールを失っていない。
フィールドに立って以来、一度もINTを記録していないのだ。
そして唯一の敗戦も、あの怪我を負ってしまったゲームだけ。
レギュラーシーズンで一度も敗戦を喫していないルーキーのクリーツは、名誉の殿堂に送られることになった。
このままの活躍が続いてくのなら、そこに飾られるのはクリーツに止まることはないだろう。
彼の敬愛するダン・マリーノのように。
Brock Purdy wears #13 for Dan Marino. And our Ryan Fitzpatrick gave him the chance to meet him. pic.twitter.com/ViQk1s6pHy
— NFL on Prime Video (@NFLonPrime) September 22, 2023
だが、その前に手に入れなければならないものがある。
彼がMr. Irrelevantでないことは、すでに証明されている。
今度は、それに見合った対価を手に入れるときだ。
あのNFC Championship Gameに、何か忘れ物をしてきたと感じているのは、僕だけではないだろう…