Dolphins are SUPER!
というには気が早いかもしれないが、彼らはAFC唯一の全勝チームとなった。
昨シーズン、9勝8敗で地区3位に過ぎなかったチームがだ。
彼らは、3rd & 22も勝率予測わずか2%もものともせずに堂々の開幕3連勝中だ。
THE ONLY UNDEFEATED TEAM IN THE AFC.#FinsUp | #NFL pic.twitter.com/tUWkabDc2F
— Sunday Night Football on NBC (@SNFonNBC) September 25, 2022
活躍する選手たちの中でインプレッシブなのは二組のデュオ。
チーター & ペンギン
The Cheetah and The Penguin 🐆🐧@cheetah 👀 @D1__JW pic.twitter.com/QabySMoOPt
— Miami Dolphins (@MiamiDolphins) September 19, 2022
イルカの群れに紛れ込んだチーターとペンギンがフィールドを蹂躙している。
第2週に対戦したボルチモア・レイブンズのDBは、1試合で6,131ヤードも走らされたことになる。
The Dolphins field-stretching receivers forced the Ravens secondary to cover a lot of ground…
Ravens defensive backs traveled a total of 6,131 yards on pass plays over the course of the game, the most by a DB group in a game since the start of last season.#MIAvsBAL | #FinsUp
— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 18, 2022
WR ジェイレン・ワドル
チャートを見ると、ジェイレン・ワドルが昨年よりさらに飛躍しているのがよくわかる。
2021年のドラフトで1巡全体6位で指名されたジェイレン・ワドルは、そのルーキーシーズンに期待を裏切らない活躍を見せた。
104キャッチを記録してNFLのルーキー記録を打ち立てたのだ。
All aboard the Jaylen Waddle bandwagon. 🗣️🐧@D1__JW | @MiamiDolphins pic.twitter.com/ryC1HpztdW
— NFL (@NFL) March 19, 2022
しかし、昨シーズン、20ヤード以上のパスは、わずか4本しかキャッチすることができなかった。
ワドルが2年目に飛躍するためには、そのスピードをフィールドストレッチャーとして活用する必要がある。
情報源: 「ジェイレン・ワドルはボールを持つとタイリーク・ヒルのよう」とドルフィンズコーチ | NFL JAPAN.COM
そういっていたのは新任のWRコーチ、あのウェス・ウェルカー!
名選手は名コーチでもあったようで、ジェイレン・ワドルは、早速フィールドストレッチャーに変貌している。
そして3rd & 22だ。
第3週のバッファロー・ビルズ戦で迎えた困難なシチュエーションも、世界最速のペンギンがぶち抜いて見せた。
On 3rd & 22, Tua Tagovailoa connects with Jaylen Waddle deep for a 45-yard gain.
The Dolphins win probability rose by 22% as a result, from 33% to 55%.#BUFvsMIA | @MiamiDolphins pic.twitter.com/lAr5bKd5is
— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 25, 2022
2 high safetyにはポストだぜ!とはいうものの、鮮やかすぎる45ヤードのゲインは、チームの勝率を33%から55%にまで一気に引き上げた。
今後、マイアミには、ますますペンギンが増殖していくに違いない。
It’s the fans doing the Waddle for us 😂@D1__JW 🐧 #BudLightCelly pic.twitter.com/jebFCPh36S
— Miami Dolphins (@MiamiDolphins) September 11, 2022
WR タイリーク・ヒル
そして、タイリーク・ヒルのようになれると言われるジェイレン・ワドルのもとに、本物のタイリーク・ヒルがやってくることになった。
Tyreek Hill has been one of the most dominant deep threats of the Next Gen Stats era, leading the NFL with 28 deep receiving touchdowns since 2016.
The Dolphins were the only team to fail to throw multiple deep passing TD last season. https://t.co/ryrr33jnWp pic.twitter.com/ABelI8MqYH
— Next Gen Stats (@NextGenStats) March 23, 2022
どうしてカンザスシティ・チーフスが彼を手放したのかを理解していないが、どこからでも一発の脅威を与えることができるWRの加入は、飛び道具のなかったドルフィンズにとっては願ってもない補強だった。
しかも、ジェイレン・ワドルの急激な成長で、今ではタイリーク・ヒル2人をいっぺんにラインアップさせているようなものだ。
そうして2人は、300ヤード以上のレシービングを記録し、仲良くランキングの2位と3位になっている。
PLAYER NAME |
TEAM |
POS |
REC |
YDS |
TD |
Stefon Diggs |
BUF |
WR |
27 |
344 |
4 |
Jaylen Waddle |
MIA |
WR |
19 |
342 |
3 |
Tyreek Hill |
MIA |
WR |
21 |
317 |
2 |
A.J. Brown |
PHI |
WR |
20 |
309 |
1 |
Courtland Sutton |
DEN |
WR |
19 |
291 |
0 |
Cooper Kupp |
LAR |
WR |
28 |
280 |
3 |
Chris Olave |
NO |
WR |
17 |
268 |
0 |
Christian Kirk |
JAX |
WR |
18 |
267 |
3 |
Amon-Ra St. Brown |
DET |
WR |
23 |
253 |
3 |
スーパーボウル誕生以降、開幕3試合でそれぞれ300ヤードのレシーブを記録した、記念すべき2組目のデュオとなった。
That @MiamiDolphins duo is different 🐬
Full article: https://t.co/iRtBg4so6I pic.twitter.com/jHQpf5JMHl
— NFL GameDay (@NFLGameDay) September 23, 2022
QB トゥア・タゴヴァイロア
Tua Tagovailoa has already set a career high with 5 TDs on passes of 10+ air yards under new head coach Mike McDaniel.
Tagovailoa had 4 such TDs in each of his first two NFL seasons.@MiamiDolphins | #FinsUp pic.twitter.com/TbMjpxRnu4
— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 20, 2022
そうしてロングレンジのウェポンを手に入れたQB トゥア・タゴヴァイロアは、キャリアハイのパフォーマンスを見せている。
しかも、しぶとさも身につけながら…
Go crazy, @Tua! 😤 #NextGenStats | @awscloud pic.twitter.com/xetwQ6kAmA
— Miami Dolphins (@MiamiDolphins) September 19, 2022
従来のパサーレイティングによるランキングでも117.8と2位につけ、新しい指標Passing Scoreでも第2週時点で第7位。
パッシングヤードも925ヤードとバッファロー・ビルズのジョシュ・アレンに次いでNFL第2位。
2020年に1巡目全体5位でドラフト指名された大器が、いよいよその片鱗を見せ始めたということなのだろう。
Incredible effort between these two ‼️@Tua @JoshAllenQB pic.twitter.com/wDulDlBvOt
— NFL (@NFL) September 25, 2022
ヤング S デュオ
もう1組のデュオは、若きセーフティーのデュオ。
しかも、この2人は、今シーズンの最速サック記録の1位と2位を占めている。
RK |
PLAYER |
TEAM |
POS |
TIME (SECS) |
WK |
1 |
Brandon Jones |
MIA |
SS |
2.13 |
1 |
2 |
Jevon Holland |
MIA |
FS |
2.17 |
3 |
3 |
Dre’Mont Jones |
DEN |
DE |
2.24 |
2 |
4 |
Nick Bosa |
SF |
DE |
2.3 |
3 |
5 |
Jadeveon Clowney |
CLE |
DE |
2.5 |
2 |
6 |
Bobby Wagner |
LAR |
MLB |
2.54 |
2 |
7 |
L’Jarius Sneed |
KC |
CB |
2.57 |
3 |
8 |
Maxx Crosby |
LV |
DE |
2.6 |
3 |
9 |
Arthur Maulet |
PIT |
CB |
2.64 |
1 |
10 |
Jeffery Simmons |
TEN |
DT |
2.64 |
1 |
2人のSがこの記録を持っているところが、いかにもドルフィンズらしい。
ドルフィンズといえば、セーフティーブリッツ。
第一線に並んだ2人のSが躊躇なくブリッツする様は、ドルフィンズのディフェンスの華だ。
2021シーズン、ボルチモア・レイブンズ相手に起こしたアップセットの原動力は、Next Gen Stats 始まって以来最多のDBのブリッツ。
マイアミ・ドルフィンズとボルチモア・レイブンズの対戦で始まったNFL 第10週。 それは、前週の流れに乗ったようにビッグアップセットで口火を切った。 ドルフィンズが降らせたのは、セーフティーブリッツの雨だった。
情報源: NFL 2021 ドルフィンズがブリッツの雨でアップセット | ALOG
今シーズンの対戦でもドルフィンズは躊躇なくブリッツの雨を降らせた。
The Dolphins blitzed Lamar Jackson on 10 of his 13 dropbacks in the first half (76.9%), including all 3 TDs.
Jackson vs Blitz (1st Half)
🔹 Time to Throw: 2.55 seconds
🔹 8/10, 162 yards, 3 TD
🔹 +15.9 pass EPAThe Dolphins pressured Jackson only once.#MIAvsBAL | #RavensFlock
— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 18, 2022
ところが、織り込み済みだったラマー・ジャクソンに返り討ちにされてしまう。
おまけに前人未到の記録まで献上してしまった。
Lamar Jackson set multiple records last Sunday, becoming the first to record 300+ pass yards, 3+ pass TDs, 100+ rush yards, and 1 rush TD in the same game. He is also the first to have a 75+ yard TD pass and rush TD in the same game 🏆
Tune in to see what he’ll do in Week 3! pic.twitter.com/mKdEJvhhLC
— NFL Football Operations (@NFLFootballOps) September 25, 2022
だがしかし、これは相手が悪すぎる。
AWSの機械学習が2ヤードしかゲインできないと予測したプレイに、77ヤードも上乗せしてエンドゾーンにまで持ち込んでしまうような化け物なのだから…
Lamar Jackson (79-yd TD run)
🔹 Defenders in Box: 9
🔹 Jackson Top Speed: 20.48 mph
🔹 Yards Over Expected: +77Jackson (Career): 10th run of 20+ mph, most among QBs since 2018#MIAvsBAL | #RavensFlock
— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 18, 2022
S ジェボン・ホランド
ビルズとの対戦でもブリッツから入ったドルフィンズだったが、出入りの激しい結果に調整を加えていった。
The @MiamiDolphins have blitzed J. Allen on 40% of dropbacks, they already adjusted this way down after blitzing over 65% in Q1. Overall Allen is 11-12 for 129 and 2 TDs against blitz (2 sacks and fumble)@NextGenStats
— cynthia frelund (@cfrelund) September 25, 2022
しかし、その中からジェボン・ホランドのストリップサックも生まれることになる。
Jevon Holland forces a strip sack! #FinsUp
📺: #BUFvsMIA on CBS
📱: Stream on NFL+ https://t.co/AgvEitKLgz pic.twitter.com/82xhn1RRyM— NFL (@NFL) September 25, 2022
SとCBが躊躇なくブリッツに入ったディフェンスは、これ以上ない場所でのターンオーバーを産んだ。
昨シーズン、Sとして1番目のドラフト指名を受けたジェボン・ホランドは、ルーキーながらNFL WAY TO PLAYにも選出されている。
こうした勝負所でボールを奪うディフェンスが、ジョシュ・アレンに400ヤードも投げられながら2TDしか与えなかったことにつながっている。
ビルズにとっては、相当にフラストレーションの溜まるゲームとなったに違いない。
The hand covering the camera at the end killed me pic.twitter.com/RsZAwtcJfW
— Eric Edholm (@Eric_Edholm) September 25, 2022
S ブランドン・ジョーンズ
ジェボン・ホランドの一つ上の先輩のブランドン・ジョーンズも、開幕戦のニューイングランド・ペイトリオッツとの対戦で決定的なブリッツを見せている。
Let’s gooo @BlessedJones33 and @MelvinIngram‼️
📺: Watch #NEvsMIA on @NFLonCBS pic.twitter.com/HMPWFSFpeW
— Miami Dolphins (@MiamiDolphins) September 11, 2022
こちらは、得点に直結したサック。
全くのブラインドから2.13秒でサックを浴びたマック・ジョーンズには、お悔やみ以外、かける言葉が見つからない。
こうして2人のSが、ガンガン攻撃できるのも、CBが優秀だからということになるのだろう。
I. Lowest CB Target Rate
The best cornerbacks are often those who never have the ball thrown their way. These are the top five outside corners with the lowest target rate with at least 50 coverage snaps.
Jaylon Johnson, who missed Week 3, has not been targeted yet this season. pic.twitter.com/xvRMdexfYq
— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 26, 2022
III. Highest Ball Hawk Rate
Finally, here are the top five who have specifically made the highest percentage of plays on the ball when targeted, shown as ball hawk rate. This statistic is simply the proportion of plays a defender defended a pass or snagged an interception. pic.twitter.com/e55OsX5vkP
— Next Gen Stats (@NextGenStats) September 26, 2022
HC マイク・マクダニエル
今シーズン、ドルフィンズは新しいヘッドコーチを迎えた。
およそサイドラインに似つかわしくない、線の細い男は、選手たちに囲まれれば、すぐに見えなくなってしまう。
イェール大学で歴史を学んでいたというアイビーリーガーは、決して怒鳴り散らすことはないようだ。
しかし、彼は就任早々、負けなしの3連勝。
それをドルフィンズで成し遂げたのは、あのジミー・ジョンソンだけだ。
ヘッドコーチが変わったくらいで、急にチームが強くなることはないだろう。
ここ数年のドラフトやトレードが実った成果と言えるだろう。
しかし、今年のジャクソンビル・ジャガーズを見ればアタマが変わることの重要性もよく理解できる。
彼らは、ほぼアタマが変わっただけで見違えるような成果を出している。
ドルフィンズも、実りつつある育成に、最適なタイミングで、最適なコーチを迎えることができたということなのだろう。
パーフェクトシーズンから50周年
NFL100年の歴史で史上最強と言われる1972年のマイアミ・ドルフィンズ。
なぜ最強かといえば、彼らは無敗のパーフェクトシーズンを達成したからだ。
1972 MIAMI DOLPHINS
“Perfection is perfection. Close? – Get a cigar. There’s only one team that drinks the champagne.” – Larry Csonka
情報源: NFL 100 | NFL.com
その時のメンバーは、シーズン終了時にパーフェクトシーズンを達成するチームが生まれてこないことをシャンパンと葉巻でお祝いするらしい。
一敗でそれを逃してしまった1985年のシカゴ・ベアーズに土をつけたのは、ダン・マリーノ率いるマイアミ・ドルフィンズだった。
彼らは、さぞやOBに感謝されたに違いない。
しかしもう、50年だ。
この節目の年に、パーフェクトクラブに仲間入りするのが後輩であるのなら、OBたちも喜んで受け入れてくれるだろう。
もっとも、振る舞われる葉巻とシャンパンが、とっておきの最上級かどうかは保証の限りではないけれど…