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NFL 2022 ホワイトベンガルはジャングルに上陸するドルフィンズを迎え撃つ

このスケジュールが発表されたシーズン前には、話題になったのはホワイトベンガルの登場だけだった。
ところが、今ではその対戦相手が最大の話題を振り撒いている。
ホワイトベンガルはジャングルに上陸するドルフィンズを迎え撃つ。
ジャングルでは戦いようのないはずのイルカの群れには、チーターとペンギンが紛れている。

NFL史上初めてのチーム

今シーズンのシンシナティ・ベンガルズには、NFL史上3番目のチームになれるチャンスがある。
それは、前年のスーパーボウルの敗者が翌年チャンピオンになれるというチャンス。
それを最初に成し遂げたのは、1972年のマイアミ・ドルフィンズ。
パーフェクトシーズン達成50周年の今年、ここまでパーフェクトのドルフィンズと対戦するというのも、何かの巡り合わせなのかもしれない。
しかし、そんな記録とはかけ離れたところで、ベンガルズはNFL史上初めてのチームになってしまった。

シーズン開幕からの2連戦を、いずれも最後のプレイで負けてしまった最初のチーム。
不名誉と片づけるより、アンラッキーなエンディング。
なあに、取り乱す必要はない。
スーパーボウルの敗者たちは、そのほとんどがアンハッピーなシーズンを送っている。
第1週に膝に大怪我を負い、シーズンを棒に振った、2008年のトム・ブレイディに比べればまだまだ不幸だなどとは思う必要もない。

そもそも、2021シーズンのベンガルズも楽々スーパーボウルにたどり着いたわけじゃない。
3年連続地区最下位、前年4勝しかあげられなかったチームは、最終週までスロットマシンの目のように激しく順位の入れ替わる激戦のAFC北地区を、どうにかこうにか生き延びてプレイオフに漕ぎ着けたのだ。

プレイオフでも、テネシー・タイタンズには9サックを浴び、カンザスシティ・チーフスには立て続けに3TDを奪われながら、Next Gen Stats史上3番目の勝率予測2.7%からの大逆転劇をものにしてきた。

ライブ中継で余すことなく観戦できて幸福だったと感じられるゲーム。 そんなゲームが、一体どれほどあるだろう。 シンシナティ・ベンガルズとテネシー・タイタンズのDivisional Roundの対戦は、忘れることのできない激闘となった。 それを裏付けるようにNext Gen Statsの勝率予測は50-50%を指し続けていた。

情報源: 2021 NFL Playoff ベンガルズとタイタンズの動かないシーソーゲーム | ALOG

ディフェンスが辛抱してゲームを作り、ジョー・ミクソンが時間をかけてディフェンスを解き、後半ゲインするようになる。
勝負所でボールを奪うディフェンスが、100%キッカーのお膳立てをする。
こんなカタチが、勝負強いベンガルズの勝ちパターンだった。
そしてディフェンスは、今シーズンもあいかわらず健在だ。

DE トレイ ・ヘンドリクソン

トレイ ・ヘンドリクソンが、第3週のAFC 週間最優秀守備選手に選出された。
そうしてそれは、意外にも初めてのことらしい。
なぜ意外かといえば、彼は、2021シーズン、あらゆる項目を総合して最もQBの邪魔者となったパスラッシャーNo. 1にランクされているからだ。
何より、彼はターンオーバーに結びつくプレッシャーを与えた数がNo. 1。
さらに彼は、8人目のパスカバーを担うものとしてドロップする能力もある。
それは、AFC Championship Gameでパトリック・マホームズを失速させた原動力となった。

WR トリオ

YACの怪物、ジャマール・チェイス。
ショートパスからのランアフターキャッチで、Next Gen Stats始まって以来、最も予測値を超えた彼は、本当になんでもないショートパスを一発で持っていく力がある。
しかし、今シーズンは、未だその爆発力を発揮できていない。
当然ながら彼へのショートパスは、ガッチリとマークされており、投じることのできなかったジョー・バロウがサックされるというパターンが目についた。
バックフィールドからリリースさせてみたりと、サイドラインは試行錯誤中だ。

しかし、WRは1人じゃない。
ジャマール・チェイス、ティー・ヒギンズ、タイラー・ボイドの3人は、NFL最高のWRトリオとして絶賛売り出し中だ。

セーフティーブリッツの表と裏

両チームともにエリートDBが存在している。

さらに第13週のNFL WAY TO PLAYでも表彰された、スロットCBのスペシャリスト マイク・ヒルトンもいる。
テネシー・タイタンズとのDivisional Roundの対戦で見せた自身のブリッツからのスーパーなインターセプトは、未だ記憶に新しい。

ドルフィンズの華といえば、セーフティーブリッツ
それはドルフィンズにとって決定的な効果をもたらすものである。
ロスに追い込むだけでなく、ボールを奪い、得点にも直結する。
しかし、その裏でパスを通されることも多い、出入りの激しい選択だ。
となれば、ジャマール・チェイスのランアフターキャッチが爆発するシーンに久しぶりにお目にかかれるかもしれない。

おそらくベンガルズの自陣レッドゾーン近くでコールされるであろう、ドルフィンズのセーフティーブリッツ
それがどちらに転ぶかが、一つの勝負の分かれ目になるのかもしれない。

チーター & ペンギン

ジャングルで迎え撃つベンガルズにとって、イルカだけの群れなら不安はないだろう。
しかし、その群れには、チーター & ペンギンが紛れ込んでいる。

スーパーボウル誕生以降、開幕3試合でそれぞれ300ヤードのレシーブを記録した、記念すべき2組目のデュオは、守る方からすれば、相当に厄介なことだろう。
しかも、タイリーク・ヒルは、最後の対戦で相当に苦い目にあわされている。
AFC Championship Gameでチーフスのユニフォームを着ていた彼は、前半最後のプレイで強行したギャンブルを阻まれ、オーバータイムでの彼へのパスはインターセプトとなってしまった。
そしてそれは文字通り、2021シーズン、チーフス攻撃陣の最後のプレイとなった。
彼自身、完封されたわけではないし、TDもあげている。
しかしだからといって、苦味が和らぐことはないだろう。

そして、今回の対戦では、もうひとり自分がいる。
ペンギンという可愛いニックネームはセレブレーションだけで、プレイでは爆発力を誇るジェイレン・ワドル。
フィールドストレッチャーに変貌した彼は、NFLのルーキー記録を樹立した昨年よりも、もう1段階上のステージに上がっている。
タイリーク・ヒルのようになれると言われてきた彼は、もうプレイぶりでは肩を並べているようだ。
チーター2匹が同時にラインアップするドルフィンズに、ベンガルズのDBは、どんな戦いぶりを見せるのだろう。

QB トゥア・タゴヴァイロアは、キャリアハイのパフォーマンスを更新中。
新しい指標Passing Scoreでも、TOPと1ポイント差の3位につけている。

殿堂入りするアイザック・カーチス

WRとDBのマッチアップに注目が集まるこのゲームで、奇しくもアイザック・カーチスがベンガルズの殿堂入りを果たすことになった。
パッシングモアで発展してきたNFL100年の歴史の中で、アイザック・カーチス・ルールという重要なルールの発端となった選手だ。

1973年、アイザック・カーチスという物凄いルーキーWRがリーグを席巻するようになると、プレイオフで対戦したチームが、バンプなどという生やさしいものではなく、ダウンフィールド上でコンタクトし続けた。
その結果、彼は、わずか9ヤードのキャッチにとどまった。
以後、アイザック・カーチス・ルールと呼ばれるものが作られ、レシーバーへのコンタクトは制限されるようになる。
その対戦チームとは、名将ドン・シュラ率いるマイアミ・ドルフィンズだった。
こんなところも因縁めいている…

名前が変わったザ・ジャングル

今回、あちこち見ていて感じた違和感。
その正体は、スタジアムの名称が変更されていたことだ。

あの偉大なポール・ブラウンの名を持つスタジアムは、命名権の取引により、ペイコー・スタジアムと呼ばれることになった。

“This is a move that I think my father would have agreed to. He was always for what is best for the football team,” said Bengals President Mike Brown.

情報源: Cincinnati Bengals and Paycor Announce Stadium Naming Rights Partnership

これで命名権の取引がされていないのは、グリーンベイ・パッカーズのランボー・フィールドとシカゴ・ベアーズのソルジャー・フィールドの二つだけとなった。
この最古のライバルチームは、ここでも競っているのだろうか。
企業チームとして始まったグリーンベイ・パッカーズが、市民球団と変貌し、頑なにスタジアムの名前を守り続けているのも皮肉な話だ。
キャンドルスティック・パークという美しくロマンティックな名前のスタジアムを失って以降、僕はネーミングライツには不感症になってしまった。
そんなことくらいでスポーツという金のかかるペットが、生き永らえることができるのならば、いくらでもやればいい。
スタジアムの名前が変わったくらいで、あの偉大なポール・ブラウンが忘れ去られるわけもない。

PAUL BROWN

“Paul Brown in the history of pro football was one of its greatest innovators.” – Paul Warfield

情報源: NFL 100 | NFL.com

偉大なるゲームチェンジャーが、どこからでもすぐに認識できるヘルメットのデザインが欲しいと言い出さなければ、この独特なストライプが生まれることがなかった。

しかし、もしポール・ブラウンが、あのようなカタチでクリーブランド・ブラウンズを追い出されていなければ、その時ブラウンズのイクイップメント一式を管理していなければ、白いベンガル虎に因んで名付けられたベンガルズは、ホワイトのチームカラーであったのかもしれない。
今回誰よりも喜んでいるのは、本来の姿を取り戻すことのできた動物園のベンガル虎かもしれない。
そして本来の姿を取り戻したホワイトベンガルは、これまで見たことのない力を発揮するのかもしれない…

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