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NFL 2022 ベンガルズ vs ドルフィンズ 「プライムなのはユニフォームだけじゃない」

WHITE vs AQUAのクリーンなカラーラッシュ対決は、前評判以上にインプレッシブ。
しかし、そのゲーム内容こそが、まさしくプライムだった。
事前に名前が挙げられた男たちが前評判通りの活躍をするなかで、アクセントになったのは事前に名前があがらなかった男たちだった。

#WearWhite

#WearWhiteの大号令を発したペイコー・スタジアム自身も、しっかりとお色直し。

そうして呼びかけに応じたファンが、白いザ・ジャングルを完成させた。

情報源: Around the Stadium for Thursday Night Football

チアリーダー Ben-Galsには日本人女性お二人が参加されているが、彼女たちも#WearWhiteだったのだろう。

このスケジュールが発表されたシーズン前には、話題になったのはホワイトベンガルの登場だけだった。 ところが、今ではその対戦相手が最大の話題を振り撒いている。 ホワイトベンガルはジャングルに上陸するドルフィンズを迎え撃つ。 ジャングルでは戦いようのないはずのイルカの群れには、チーターとペンギンが紛れている。

情報源: NFL 2022 ホワイトベンガルはジャングルに上陸するドルフィンズを迎え撃つ | ALOG

ALL AQUA

いかにホワイトベンガルのユニフォームがクリーンでも、対戦相手のユニフォームがイマイチならば、カラーラッシュ対決は台無しになってしまう。

ザ・ジャングルに上陸したドルフィンズが身につけたのは、オールAQUAのユニフォーム。
オリジナリティの高いクリーンなユニフォームは、ホワイトベンガルのユニフォームとの美しいコントラストを生み出していた。

WRトリオの相乗効果

ベンガルズのWRトリオは前評判通りに力を発揮してみせた。
印象的だったのは、彼らが高い相乗効果を発揮していたことだ。

予想よりロースコアでシーソーな展開の中、飛び出したのがティー・ヒギンズの59ヤードTD。

よく見ると、ジャマール・チェイスとティー・ヒギンズのラインアップするサイドに、ドルフィンズの2人のSが思いっきりカバーに向かってる。
これはミスではなく、そういうカバーなのだろう。

ティー・ヒギンズをカバーしていたのは、CB ザビエン・ハワード。
CBとして最もパスの阻止率が高い彼をティー・ヒギンズのカバーに回し、他のレシーバーには人数をかけて対処するというプランだっだのかもしれないが、ティー・ヒギンズはその根底を突き崩したことになる。
この日マッチアップに勝利したティー・ヒギンズは、ご褒美にキャリアハイを記録した。

プランを変更せざるを得なくなったドルフィンズは、タイラー・ボイドにも仕事をさせてしまう。

シングルカバレッジは破られ、ゾーンを敷けば切れ目にパスを通されてしまう。
残り時間も少なくなっていく中、ドルフィンズはセーフティーブリッツを仕掛ける。
当たれば強い成果を生むドルフィンズ・ディフェンスの華は、この日は裏目に出てしまった。
単純なシングルカバレッジになってしまったディフェンスは、ジャマール・チェイスにあっけなく破られてしまう。

突出した選手が1人だけなら、交通事故だとあきらめてプライマリーに的を絞ったままでいい。
しかし、プライマリーだと断定した選手以外が遜色のない働きを見せ始めるとディフェンスのプランは大幅に狂ってしまう。
そうして結果的にプライマリーのカバーも、おろそかになってしまう。
そうした相乗効果を、このWRトリオは発揮しているようだ。
スリーアミーゴスなんて、なつかしい面々を思い出してしまったよ。

第4の男 TE ヘイデン・ハースト

この厄介なWRトリオに加えて、第4の男 TE ヘイデン・ハーストも存在感を発揮した。

TEらしい好ゲインを見せると、TDまで奪ってみせた。
それは、どうしてもショートヤードを突破できなかったベンガルズを救い、勝利を決定づけるものになった。

ドルフィンズのランディフェンス

ベンガルズが、あっけなく先制TDをあげたことで、予想通りハイスコアのゲームになると思われた。
しかし、実際はロースコアのシーソーゲームの展開。
そうさせたのは、両チームのディフェンスの奮闘だ。

ことにドルフィンズのショートヤードのディフェンスはすごかった。
この日、ジョー・ミクソンはシャットアウトされたと言っていいんじゃないだろうか。

ギャンブルも阻まれ、ゴールラインでも、凄まじいディフェンスを見せつけられたベンガルズは、以後FG以外は選択することはなかった。
彼らには、Money Macとよばれるエヴァン・マクファーソンがいるからだ。

こんなゲーム展開では、こうしたキッカーの存在が勝負を分けることになるのだろう。
残念ながらドルフィンズは、取れるものを取るチャンスを逃してしまった。

QB トゥア・タゴヴァイロア

予想外のことは起こるもの、特にゲームでは。
しかし、QB トゥア・タゴヴァイロアの負傷退場はショッキングだった。
長い中断、ストレッチャーで運び出される姿に、スタジアム全体が祈りを捧げる。
しかし、現在は、深刻な状態に陥っていないことが本人から報告されている。

QB テディ・ブリッジウォーター

変わって登場したのが、テディ・ブリッジウォーター。
失礼ながらゲームは決まってしまったと思った。
しかし、ここから、またも予想外のことが起きる。

テディ・ブリッジウォーターはタイリーク・ヒルに64ヤードのパスを成功させる。
ランアフターキャッチがほとんどないその距離は、ほとんどが正味のパスの飛距離。
それはなんと今シーズン最長の飛距離を誇るパスとなった。

彼が誰よりも走らされてしまうのは、シフトやモーションさせるのに、最も効果的な選手だからなのだろう。

ボン・ベル 2本目のINT

シーソーの順番通りにベンガルズのエンドゾーンに近づいていくドルフィンズ。
しかし、ボン・ベルに喫した2本目のインターセプトが勝敗をわけてしまった。

奪われた後、長いリターンを許してしまったことで、突然シーソーは逆向きになってしまった。
そうしてこのインターセプトが、ベンガルズの勝率予測を93%にまで引き上げた。
惜しいのは、奪われたものではないということだ。
QBとレーシバーのコミュニケーションミスによるものに見受けられる。
残り時間と点差を考えれば、逆転のTDドライブを完結させられる可能性があっただけに残念だ。

かくしてマイアミ・ドルフィンズが50年ぶりにパーフェクトシーズンを達成することはならなかった。
でも、50年ぶりにスーパーボウル・チャンピオンになる可能性は、まだまだ残ってる。
50年ぶりに#VLTをマイアミに持ち帰るのならば、OBの爺様たちも、極上の葉巻とシャンパンをお裾分けしてくれるかもしれない。
ベンガルズも、NFL史上3番目のチームになれる可能性が依然として高い。

今季のレギュラーシーズンの対戦は、もうない。
しかし、順調にいけばプレイオフで顔を合わせることになるはずだ。
お互いの爆発力を秘めたオフェンスに、お互いの勝負強いディフェンスが拮抗する好ゲームなんて、また観たいに決まってる。
これこそがプライムなゲームだったのだから。

さて、プレイオフはどちらで行われるだろうか。
またもイルカがジャングルに上陸しなければならないのか。
それとも、今度はベンガルの虎がマイアミのビーチに飛び込まなければならないのか…

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