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NFL百年の走馬燈(2)全てのチームの名前とアイデンティティの由来は?

ここんとこ楽しみにしているのが、NFLが自身の100年を様々な切り口で振り返るシリーズ。
僕は勝手に、「NFL百年の走馬燈」シリーズと名付けている。
さて、今回公開されたのは、全てのチームがいかにして現在のフランチャイズに落ち着き、どのようにその名前とアイデンティティを獲得したのかを解説する動画だ。
当時のロゴ付きだよ。

生まれては消えた75チーム

現在、32チームで安定して運営されているリーグだが、この100年で、生まれては消えていったチームを合計すると、その数、なんと75!
最少は8まで落ち込んだチーム数から現在の隆盛を考えると、まだまだ日本フットボール界も希望が持てるというものだ。

設立当初から存在するのは2チーム

1920年、NFLはAPFA(American Professional Football Association)として設立され、14チームで始まった。
そのうち、現在まで存続しているのは2チームのみ。
カーディナルズとベアーズだ。

カーディナルズ

ベアーズが長老なのは知っているが、カーディナルズも同期だったのは意外だ。
しかも、スタートはシカゴ・カーディナルズ!
1898年にモーガン・アスレチック・クラブとして設立されたこのチームは、実はNFLの最長老なのだ。
そのチーム名は、ユニフォームのカーディナルレッドに由来する。

ベアーズ

ディケーター・ステイリーズとして始まったチームがシカゴに移転したのは1921年。
MLBのカブスとスタジアムを共用していたことから、ベアーズの名前がつけられた。
曰く、「フットボール選手は、野球選手より大きくなければならないからだ!」

シンプルでオールドスクールな現在のロゴの歴史も、さぞや長かろうと思っていたけど、登場したのは1970年代。
彼らの歴史からすれば、ついこの間変えたばかりって感じなんだろうね。
ユニフォーにムあしらわれている「GSH」は、選手兼ヘッドコーチ兼オーナー兼創設者なおかつリーグの共同創設者のジョージ・スタンレー・ハラス(George Stanley Halas)のイニシャルだ。
動画の冒頭では、彼の肉声も聴ける。

初年度からのダイバーシティ

初年度、チャンピオンに輝いたのは、アクロン・プロズ。
8勝0敗3引き分けという無敗の戦績を誇った。
そして、このチームは、カラーバリアーを破った最初のチーム。
1920年から1926年まで、9人しか存在しなかった黒人選手の一人が初年度からプレイしている。
チームメイトと肩を寄せ写真に収まるフレデリック・ダグラス・ポラードの自然でにこやかな笑顔を見ると、そこに本当にバリアーが存在していないように感じとれる。
NFLのダイバーシティは、筋金入りだ。

パッカーズ

1921年になると、パッカーズが参加する。
その名前の由来は、そのまんま。
インディアン・パッキング・カンパニーが、スポンサーだったからだ。
その名前が、そのまま続いてるのもすごい。
日本でいうと、「マルハ缶詰野郎」みたいな感覚だよね。
専用スタジアムを持つはじめてのチームだった。
アメリカプロスポーツの中で唯一の市民球団と言えるこのチームが、がっつり企業のスポンサーのもとに始まったのは意外だった。
しかし、返す返すも、なぜチーム名を変えようという議論が起きなかったんだろうか?
スポンサーを受けていたのは初年度だけだ。
いくらでも変えるチャンスはあっただろうに。
それほど、パッカーズという名前が定着し、愛されていたんだということになるよね。

NFLに名称変更

1922年には、リーグの名称がNFLに改められる。
しかし、現在、おなじみのあのシールド型のアイコンのロゴが登場するのは1940年だ。

ジャイアンツ

MLBのNYジャイアンツと、それこそ巨人の群れのようなニューヨークの摩天楼から、この名前がつけられた。
いっとき、NYヤンキーズというフットボールチームも存在してるね。

イーグルス

ルーズベルトのニューディール政策のシンボルであったワシに由来している。

MLBの存在

ネーミング・コンテストが広がる後期の前には、フランチャイズの先輩であるMLBチームのニックネームの影響が存在する。
それらにちなんだり、別の名称を選ばざるを得なくなったり…

レッドスキンズは、ブレーブスの存在のために改名し、ライオンズはタイガースに因んで名付けられた。
ちなみに、ライオンズは、リーグの王者となるために百獣の王を名乗っている…
カウボーイズもテキサスの歴史にもとづき、レンジャーズと名乗りたかったがMLBにチームがあったため、カウボーイズに落ち着いたらしい。
ちなみにカウボーイズは、初年度、0勝11敗1引き分けというミゼラブルな成績だった。
しかし、ここからアメリカズ・チームと呼ばれる存在にまでのし上がったのだ。
諸君、人生を諦めてはいけないね。

ラムズ

GMが好きだったカレッジのチームがラムズだったから、シンプルにコピー!
これがアリだと、東京フェニックスとか、神戸ファイターズなんてのもアリになっちゃうね。

はじめてのテレビ放送

1939年には、はじめてテレビ放送が行われた。
ニューヨークの500人程度の視聴という限られたエリアでのものだった。
NBCが用意したカメラは2台。
現在のXリーグのYouTube放送と変わらないだろう。
しかし、NFLもここから未来を切り開いていった。
頑張れ、Xリーグ!
それに現在は、インターネットという、ぶっといインフラがある。

スティーグルス!

1943年になると第二次大戦の影響で選手たちは前線へ。
ラムズは、活動を一時停止。
スティーラーズとイーグルスは、一時的にチームを合併させることにより活動を存続。
その名は、スティーグルス!
まあ、なんのひねりもないけれど、わが日本国にも「オンワード・すかいらーくす」という名前で延命していたチームがあったからよそ様のことを口にすることはできない。

ブラウンズ

個人にちなんでニックネームのついた唯一のチーム。
その個人とは、最初のGMでありヘッドコーチであるポール・ブラウン。
これもスゴイよね。
日本だと、「京都・水野ズ」みたいなものか。
そうするとチームカラーは、水色になるよね…

49ers

1849年に始まったゴールドラッシュの開拓者たちにちなんで。

ダラス・テキサンズ

ダラス・カウボーイズとヒューストン・テキサンズという2チームがある現在では、冗談みたいな名前だ。
ちなみに、このチームは、NFLで消滅と相成った最後のチームだ。

AFLの誕生で新しく生まれた全く別のテキサンズは、現在のチーフスになっている。
ネイティブ・アメリカンの人々が多く住むエリアだったからだ。

AFL誕生

1960年には、NFLの4つ目のライバルとしてAFLが誕生する。
ここで誕生したブロンコス、ビルズ、ペイトリオッツは、それぞれニックネームの由来はわかりやすい。
よくわかっていなかったのがチャージャーズだ。
オーナーが、突撃ラッパが好きだったからというもの。
全く想像できなかった。
さらに、レイダースのチームカラーが当初、オレンジと黒で予定されていたというのも驚き。
もしそのままだったら、今のブランディングは出来てなかっただろうね。

ジェッツ

このチームも、どういう由来か、よくわかっていなかった。
ドジャースがMLBとの兼ね合いで名乗れず、ゴッサムズという候補もあった。
今年、ゴッサム・グリーンをまとって戦うのは、そう考えると感慨深い。
結局、スタジアムがラガーディア空港に近いからということで、ジェッツに落ち着いたようだ。
ジャイアンツもジェッツも、ニューヨークという大都市のアイコンに落ち着いたわけだ。

ファルコンズ

ピーチズなんて候補もあったらしい!
誇りと尊厳があるからと学校教師の意見でファルコンズに落ち着いたらしい。
危なかったね。

ドルフィンズ

最も古いチームかと思っていたら、1966年に誕生。
案外、若い。
ネーミング・コンテストにより、賢くて素早い生き物だからという理由で決定。

セインツ

これまたネーミング・コンテストにより決定。
ジャズのナンバーであるWhen The Saints Go Marching Inから。
確かに、ニューオリンズらしい。

AFL統合

1970年にNFLとAFLは統合されるが、NFLのオーナーたちはAFLの代表であるアル・デービスに内緒で、AFLのオーナーたちに接触していたらしい。
それ以降のNFLとアル・デービスの対立の構図って、このあたりのことがくすぶっていたのかもね。

パッカーズが第1回、第2回とAFLチャンピオンを立て続けに破ったことから、AFLのオーナーの中には統合に不安を感じる向きもあったようだ。
しかし、今も必ずオールタイム・アップセットのランキングに入るジョー・ネイマスの予告勝利と、翌年のチーフスの勝利がオーナーたちの背中を押したようだ。

さて、好きなことをダラダラと書いてきたけれど、このへんでお開きに。
お読みになっておわかりのように、僕は日本語もあんまり得意ではない。
それに100乗かけて英語が苦手だ。
間違えている箇所があるかもしれないので、そこは広い心でお許しを。

とりあえず、NFLがオススメするように、ゆったりと腰かけてNFL100年の進化をお楽しみくださいませ。

 

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