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大谷翔平 初ホームラン サイレントトリートメント

SHO TIMEとプロというスポーツ

放送局がわれわれになぜ資金を投入するのか、フットボールがなぜアメリカで最もエンターテインメント性のあるプロダクトなのか、これを本当に知る者は多くないだろう。
それは1プレーがシーズン全体を一変させる可能性があるからだ。
たった1人による1プレーがだ。

情報源: ペイトリオッツ、QBブレイディの後任探しを本格始動 | NFL JAPAN.COM

これは、ドラフトをひかえたペイトリオッツオーナーのロバート・クラフトの発言の一部だ。

「たった1人による1プレー」

ここに、プロスポーツの本質が凝縮されている。
ココロに残るのは、度肝抜かれるプレー、そして、あの場面でのあのプレーだ。
イチローが最初のレーザービームで見たものすべてのハートを射抜き、タイリーのヘルメットキャッチは、もうこの先絶対に忘れ去られることがない。
この日本でいうならば、ナガシマの天覧試合サヨナラホームランという教科書に載っていてもおかしくないものもある。

誰かさんの魅せるたった1プレー。
僕らは、それに巡り会いたいのだ。
それは、勝敗自体も超越して、その瞬間をただただ煌めかせてくれるもの。
怖いもの知らずに、常勝チーム中の常勝チームのオーナーの発言を修正するならば、その1プレーが影響を及ぼすのは、シーズンのみには止まらない。
名シーンは語り草となり、歴史として積み重なっていく。
映像ライブラリーが整備されている現在で生まれるプレーならば、向こう数百年、人々の心に焼き付けておくことだって可能かも知れない。

もちろん、特定チームの信者の皆様方におかれましては、勝ち星こそ全てと断言されることもあるだろう。
勝利に徹したNo mercyで地味な采配やプレーも、それはそれで、味わいを深めてくれるものとしてキライではない。

SHO TIME

誰かさんのたった1プレーに魅せられるという状況は、現時点において、大谷翔平という存在を見ればよく理解できるのではないだろうか。
彼が投げた、打った、走った。
それだけで、みんなが大騒ぎ。
それも同胞の活躍を願う日本人以上に、米国人がはしゃいでる。
貿易不均衡が再燃する中、またも史上最高のメイド・イン・ジャパンを輸出したというのにだ。
もっとも、投げては100マイルを超え、柔らかいスイングは逆方向のスタンドに放り込み、走ればあっという間に三塁にたどり着く足も持っている。
そんな選手、見ているだけでワクワクするだろう。
早速、SHO TIMEとニックネームをつけられた彼は、文字通り単なる競技をショーに変えてみせた。
プロというスポーツの本質は、間違いなくここにある。
もしかしたら、野球というスポーツ自体のファンは、過去より現在の方が多いのかも知れない。
その昔は、王、長嶋のファンが、その存在を楽しむために野球という興行に参加していたと言っていいのかもしれない。
どんなスポーツも観るようになれば、面白みはわかる。
誰が、どんなプレーをしているのかによって引き込めればスポーツ自体のファンへと昇華させることができるかもしれない。
直近では、カーリングの例がもっとも顕著と言えるだろう。

しかし、単にホームランの本数だけではない部分で、マジでベーブ・ルースと比較される選手が’出現したのが、この日本だったというのも痛快な話だ。
この先、野球漫画は、どれほど超絶な主人公を生み出しても、決してリアリティがないと言われることはないだろう。

ベーブ・ルースとも付き合いのあった年増のMLBは、100年に一度しかお目にかかれないタイプのこの若者に首ったけの大恋愛中だ。
しかし本当のところは、地球外生命体がお相手という、全く初めての経験になるのかもしれないが…

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