東日本大震災からの復興という宿題を与えられて始まったオリンピックは、提出期限ギリギリに新たな宿題を突きつけられた。
天皇陛下がお言葉を変更されるほど、絶賛進行中のCOVID-19の惨禍。
単なるお祭り騒ぎと一線を画した開会式は、この後もMoving Forwardしていくであろうヒトのチカラをあらためて強く感じさせてくれた。
ピクトグラムは必要だった
1964年の東京でオリンピックでピクトグラムは初めて体系化された。
開催にあたって、ピクトグラムは必要不可欠なものだったのだ。
それは決して話題性などではなく。実用性という観点から。
Markus Osterwalder is the Secretary General of the International Society of Olympic Historians, specialising in the graphic and general design of each edition of the Games. Here, we take a look with him at the history of sports pictograms which, he tells us, did not begin in Tokyo in 1964, but a lot earlier than that!
情報源: The Olympic pictograms, a long and fascinating story – Olympic News
それまでも単発で存在したピクトグラムを大幅に体系化しなければならなかった理由は、日本そのものにある。
日本語という極東の特殊な言語しか通用しない場所でオリンピックを開催するには、非言語コミュニケーションを円滑にする必要があったのだ。
そうして、今では本当に日常に存在しているトイレの男女アイコンも、このとき誕生した。
直感的に理解出る機能的なデザインは、アイコンの流れを産み、今では世界中の人々が毎日タップし続けている。
史上初の動くスポーツピクトグラム
1964年に初めてピクトグラムを体系化した東京は、2020年、初めてそれを動かして見せた。
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)は、東京2020スポーツピクトグラムの発展形として、オリンピック33競技50種類、パラリンピック22競技23種類の動くスポーツピクトグラムを制作しました。
Pictogram-san
動くピクトグラムを制作しましたよ!というのが、前フリだったかどうかはわからないが、突如、予想外の角度から登場したピクトグラムさん。
まさか、魂の吹き込まれたピクトグラムに出会えるなんて!
バトミントンでトチってしまった彼らだが、それすらもライブ感を高める演出ではないかと疑ってしまうほどの見事さだった。
ちなみに、そのトチった様子も51個目のピクトグラムとして制作されている。
— 💪 Massive Dumbass Cedric 🇲🇽 (COMMS CLOSED) (@FatWuff) July 24, 2021
https://www.youtube.com/watch?v=hy-TPd8MrII
単なるお祭り騒ぎも自粛要請されそうなビミョーな空気をいっぺんに変化させたのは、彼らのライブパフォーマンス、まさしく人力によるものだ。
まさしく金メダルものの出来だったという表現はおおげさではない。
🥉🥇🥈 Are they the real MVPs of the #OpeningCeremony❓#Tokyo2020 | #Pictograms | #Olympics pic.twitter.com/7SJ0nPCqke
— #Tokyo2020 (@Tokyo2020) July 23, 2021
使徒襲来?
That’s no moon…it’s a #Tokyo2020 drone display! 😲#Olympics | #UnitedByEmotion | #StrongerTogether | #OpeningCeremony pic.twitter.com/bIGD4UonPO
— #Tokyo2020 (@Tokyo2020) July 23, 2021
公式はスター・ウォーズのデス・スターのパロディで紹介している。
しかし、令和の日本に暮らす僕らは、ついに使徒が襲来してきたのだと覚悟を決めそうになった。
ドローンの出現とパフォーマンスは圧巻だった。
静かで厳かで美しい。
単なるお祭り騒ぎではない今回のオリンピックの開会式の道筋を、上空から照らしているようだった。
「あんなの、プログラミングしただけだろ」
と揶揄する老人もいたが、この技術を作り上げたのは紛れもなく人力だ。
A dazzling Drone Light Show by Worldwide Olympic Partner Intel proved to be one of the highlights of the Opening Ceremony, as Tokyo 2020 came to life with a spectacle that highlighted the unifying power of the Olympic Games.
情報源: Spectacular Intel Drone Light Show helps bring Tokyo 2020 to life – Olympic News
人工の炎
聖火を灯された聖火台は、勢いよく燃え盛り始めた。
しかし、不自然な炎の色に、まさか無観客だからCGなの?と疑念が湧いた。
もちろんそれはCGなどではなかったが、正真正銘、人工の炎だった。
大会史上初めて聖火の燃料に水素を用いています。
水素は燃焼する際に温室効果ガスの一つである二酸化炭素を排出しない、クリーンなエネルギーであり、今大会を契機に脱炭素社会の実現を目指していくというメッセージを込めています。
開閉会式の聖火台では、東日本大震災の被災地である福島県浪江町に設置される世界最大級の再生可能エネルギー由来水素製造施設で製造された水素を使用しています。
この施設で製造される水素は、製造過程でも二酸化炭素を排出しない太陽光発電などで電力が賄われており、真にクリーンなエネルギーです。
本大会の聖火台は、東京 2020 大会における持続可能性への取組みと、東日本大震災から一歩ずつ復興に向けて進む被災地の姿を世界に伝える象徴となります。炎の色
水素の炎は無色透明であることから、花火でも使用されている「炎色反応」の原理を利用して水素の炎を着色しています。ムラなく均一な炎色となるよう、炎色剤を霧状にきめ細かく均一に噴霧し、自然な炎の色を実現しています。
情報源: 東京2020聖火台
原子力に痛い目に遭わされ続けている日本国民には、その次のエネルギーはとても重要だ。
次の候補生を、今回お披露目したことになる。
太陽光は、エネルギー濃度が上がらず実用的でない。
一気に切り崩され始めた山は、様々な災害との関連性も指摘されている。
そうして太陽光発電は、今ではただの利殖のプログラムに過ぎない。
あの政党が所有する国に、我が国のインフラに付け入る隙を与えただけだ。
なにより、太陽光パネルを誰が作っているか、いや、作らされているのかを知れば、とてもじゃないがクリーン・エネルギーなどと口が裂けても言えない。
今回だからできたこと
無観客で、ちょっとした寂寥感も感じる今回の開会式の雰囲気は嫌いじゃない。
これでもかと華やかにお国自慢を詰め込まれた他の開会式と違って、要点は絞られて簡素になっていた。
しかし、これまでシカトされてきた重要なことは、初めて盛り込んだ。
ミュンヘン大会での事件の犠牲者遺族は長年、国際オリンピック委員会(IOC)など五輪関係者に対して、開会式で犠牲者を追悼するよう求めていたが、事件から49年後についに実現した。
情報源: 【東京五輪】 開会式でミュンヘン大会のイスラエル人犠牲者を追悼 – BBCニュース
能天気に馬鹿騒ぎできない今回だからこそ、IOCは容認したのだろう。
Moving Forward
あらためて、オリンピックとはどうあるべきかという曲がり角に僕らは立っている。
貧乏がDNAにしみついている2度目の東京オリンピックを経験する老人のなかには批判するものも多かった。
金がかかってない感じが嫌なんだと。
あげく、税金返せよといっていた。
長年、ただ同然の電波利用料でしこたま利益を上げているテレビ局から、これまた長年、高額のギャラをもらい続けている芸能人が放ったコメントは、気の利いたブラックジョークかも知れない。
気の利いた誰かが、いつものようにツッコんであげればよかったのだ。
「いいかげんにしなさい」と。
そうすれば、「どうも失礼しました」と世間から退場してくれるだろう。
僕らは前に進んでいかなければならない。
そのためには、古いしがらみや老害は振り捨てていかなければならないのだ。
今回は、資格剥奪の話題の尽きない大会だった。
それも、選手ではなく組織委員会のメンバーばかり。
これまで、ドーピングによる選手の資格剥奪ばかりが発生していたが、いまのところ、それは皆無。
かわって、開催直前まで組織委員会のメンバーがその職を追われた。
過去の人権侵害に関連する事柄によるものだった。
タイミングと手筈の良さに、リークするグループもタクティカルに実行していたようだ。
しかし、それもいたしかたない。
Moving Forwardだ。
2022は?
そうして2022がやってくる。
開催国は、人権侵害なんてレベルじゃないジェノサイド、集団殺害を実行中。
過去の話ではない、現在、実行中なのだ。
Christian Today 2021/7/25 ウイグル人女性のトゥルスネイ・ジヤウドゥンさんが14日、米首都ワシントンで開催された「国際信教の自由サミット」(英語)でスピーチし、中国の強制収容所での経験が「消えない […]
情報源: 「消えない傷を心に残した」 ウイグル人女性、中国の強制収容所での体験を涙で語る | 日本ウイグル協会
委員会の誰かさんの過去の言動なんてレベルじゃない。
開催国自体が当事者であり、現在進行中の現行犯なのだ。
資格は剥奪されるはずだよね?
もうアメリカはアクションを始めてる。
東京オリンピック開催直前まで、いや開催中も大騒ぎをしていた人権派の皆様におかれましては、今のところノーアクション。
一言で言えばガン無視を決め込んでいる。
きっと、東京オリンピックが終わったら、矛先を変えるんだよね?
ディザスターをもたらすものは、自然現象やウィルスだけに限らない。
誰かさんの振る舞いによっても、もたらされる。
復興を掲げて開催された東京オリンピック。
それを経験した僕らは、現在進行形でディザスターの最中にいる人たちにどう向きあうのか。
ひとつ朗報がある。
このディザスターは、ヒトのチカラだけで解決できるのだ。
どうにもならない大自然と違って。