みんな待ってた、あのバーガンディ&ゴールドのストライプが帰ってくる。
ワシントン・コマンダースは、Super Bowl Eraと命名したオルタナティブ・ユニフォームを発表。
だが、奥歯にものの挟まったようなネーミングのとおり、それは決してレッドスキンズの帰還ではない。
“Super Bowl Era” uniforms and helmet
The uniform design draws inspiration from the ones Washington wore during all three of the franchise’s Super Bowl wins in 1982, 1987 and 1991. The white jersey features burgundy numbers with gold outlines and gold stripes on the sleeves.
Commanders unveil ‘Super Bowl Era’ alternate uniforms and helmet
おおむね再現され、おおむね良好だ。
だが、ほぼ全てがスローバックされているからこそ、あのロゴが存在しないことの違和感が際立つ。
そう、ヘルメットを飾るデカールは、現在のコマンダースのロゴだからだ。
やはり、あのロゴが、そこに存在しなくては、いくつか存在したデザインをコピーしたチームの一つに見えてしまう。

最後の酋長

NFL 2021 ワシントン・フットボールチーム 「ブランディングの長き旅」 | ALOG
あのロゴには、実在のモデルが存在する。

John Two Guns White Calf – Wikipedia
John Two Guns White Calfは、養父である先代の酋長が、セオドア・ルーズベルト大統領にワシントンD.C.に招かれている最中に亡くなった後、ブラックフット族の最後の酋長となった。
レッドスキンズというダイレクトな名称は誤解を生む余地があるとしても、このロゴの、まさにアーリーなアメリカの歴史が刻み込まれたネイティブ・アメリカンの厳しくも深みのある表情の採用には、それを揶揄する意図など微塵も感じることはない。
アメリカ先住民系の団体ですら、これらのリベラルな主張に反発し、チーム名を変更させたり、斧や矢、頭飾りをモチーフにした画像を削除させたりするのは行き過ぎだと訴えている。
ネイティブ・アメリカン・ガーディアン協会(NAGA)は、アメリカ先住民の画像とチーム名は残すべきであり、ロゴを廃止することは歴史を消し去ることだと主張している。
全米で先住民のチーム名・ロゴ復活の動き | ワシントン・タイムズ・ジャパン
吹き荒れたキャンセルカルチャーとポリティカルコレクトネスの揺り戻しが起きている。
だって、それはそうだろう。
それらは、性別もキャンセルし、歴史もキャンセルし、現在の日本では戸籍に基づく家族というユニットもキャンセルしようと声のデカいひと握りのものたちが騒いでいる。
家族制度を廃止しようとするコミーの基本戦略は、長い間、途絶えることはない。
このままいけば、僕らを待っているのは、マトリックス世界のセルだ。
家族もなく、性別もなく、名前もなく、ただひとり、ポッドの中で発電して寿命をまっとうするだけの…
簡単に見えなくしてまうことは、その歴史も忘れられることにつながっていく。
ただでさえ少数のネイティブ・アメリカンが、あらゆる場面で露出を奪われることは、アメリカという国の成り立ちを忘れさせることにつながってはいかないのだろうか。
そして、彼らは、それを望んでいるのだろうか…
アフリカ系アメリカ人のゲームチェンジャー
NFL100年のベストチームにワシントン・レッドスキンズは5チームもランクインしている。

1937
WASHINGTON REDSKINSFirst year in D.C.
1937年、ボストンからワシントンD.C.に移転した初年度にNFLチャンピオンシップを制したチーム以外は、全て、一人のヘッドコーチ、ジョー・ギブス時代のものだ。

Head Coach
JOE GIBBS“Whatever it took to win, he could adjust his personnel to do it.” – Dick Vermeil
NFL100年の偉大なゲームチェンジャーの一人に挙げられる男は、3人の異なるQBで3度のスーパーボウルチャンピオンとなった。
そのうちの一人も、NFL100年の偉大なゲームチェンジャーの一人に名前を刻み込んでいる。

Quarterback
DOUG WILLIAMS“I think I came at a perfect time for a lot of the young guys to say, ‘Hey I can do this.'” – Doug Williams
スーパーボウル史上初の、アフリカ系アメリカ人のスターターQB。
そして、そのままMVPにも選出された。
ライフルアームと呼ばれたその肩は、ロングレンジをものともせず、正確にズドンと決める。
一つのクォーターだけで340ヤードを稼ぎ、4TDを奪ってみせた。
アフリカ系アメリカ人のスターターQB同士がスーパーボウルで対決するまでは、そこから実に35年の歳月を要することになった。
35 years ago today, Doug Williams became the first Black QB to start and win a Super Bowl. 🙌 (via @NFLLegacy) pic.twitter.com/wGUT2P7GoG
— NFL (@NFL) January 31, 2023
そんな選手がいたチームが、つけていたロゴが、BLMに端を発する活動に攻撃されるとは、皮肉すぎて笑う気にもなれない。
ともあれ、かのゲームチェンジャーによって道は拓れ、現在のスターターQBにそれはつながっている。

NFL 2024 ワシントンで何か素敵なことが始まった? | ALOG
ワシントンD.C.のフットボールチームの、ブランディングの長き旅は、まだまだ道半ば。
ただ、フランチャイズを背負える男は、もう見つかってみるはずだよね…