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「ザ・アウトロー」観た人のためのレビュー「映画史に残る銃撃戦!だけじゃなかった」

ステイホームな状況で、いろんな動画を観まくっていると、シンプルな作品が観たくなる。
重たいテーマを抱えたものや、超大作などではない、シンプルなテイストのもの。
この作品を選んだのは、ただただ映画史に残る銃撃戦を味わうためだけだった。
しかし、本作は、タクティカルで臨場感のある銃撃戦以外に、しっかりと脚本にひねりが加えられていた。

プロアスリートの試合のような

クライマックスの銃撃戦は、プロアスリートのビッグゲームのような趣だ。
ジャージが防弾ベストであり、スタジアムが連邦準備銀行であるだけのこと。

事前の情報に基づき、身支度を整え、リロードの動きをウォームアップするカウンティシェリフのオフィスは、スタジアムのロッカールームにしか見えない。

ガン・チャンバラではない銃撃戦

映画史に残ると言われる銃撃戦は、前評判通りだ。
主人公のヒロイックでトリッキーな動きのガン・チャンバラなどではない。
アメリカ海兵隊特殊作戦コマンド出身のメリーメン率いる強盗団とオブライエン刑事率いる重大犯罪班のチーム対決は、タクティカルでプラクティカルで、チームが機能的に動く臨場感の高いものになっている。

ここまでのシンプルなストーリー運びに、クライマックスが硬質な銃撃戦であれば、それで満足。
銃撃戦がノーサイドを迎えたときにも、納得するものがあった。
十分に見応えがあったと。

だが、僕はすっかり騙されていた。
ザ・アウトローというベタな邦題にも。
ジェラルド・バトラーパブロ・シュレイバーという男臭くてソリッドな感じを与える俳優たちにも。

スティング以来の衝撃

どんでん返しという言葉が嫌いなので、あまり使いたくはないのだが、この脚本には、シンプルながら効果的で深いひねりが加えられている。
後になって、そのささやかな伏線に気づくのだけれど、いかにもな邦題、ソリッドな俳優たちに騙されて、「あ!やられた!」という感想しか出てこない。
ここまで鮮やかに騙されるのは、僕にとってはスティング以来かもしれない。

様々なレビューで邦題が惜しい!と指摘されているが、僕には、このB級な邦題も「あ!やられた!」と驚くための撒き餌の役割を果たしたと言えるだろう。

前評判通りのタクティカルでプラクティカルで臨場感のある銃撃戦が堪能できて、驚きのある良い脚本に支えられているこの作品は、もっと高く評価されてもいいんじゃないだろうか。

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