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「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」レビュー「精緻な細部描写に惹き込まれる」

Amazon Prime Videoで機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイの配信がスタート。
正直、それほど期待していなかった。
しかし、いざ視聴してみると、一気に惹き込まれることになった。
その理由は、精緻な細部の描写だ。

精緻でリアルな細部描写

冒頭に映し出される宇宙空間は、ガンダム世界で宇宙(そら)と呼ばれるものとは一線を隠している。
無音で静かな宇宙空間。
にぎやかでないそれは、リアリティの深みを与えてくれる。

そうして、ハウンゼンがすーっと流れていくように、僕もこのU.C.0105の世界に引き込まれていった。

精緻に描かれたモニターの描写。
リアルなアラーム音。
大気圏を僅かに脱した程度の宇宙がもたらす緊張感。

そうしたものにぐんぐん惹きつけられて、極め付けは、モビルスーツと人との対比だ。

これまでガンダム世界で描かれた戦争と違って、ここで描かれるのは、戦闘とも呼べない小規模なもの。
軍事行動とも呼べない、単なるテロの制圧に過ぎない。

しかし、そのミクロな視点が、表現に重厚さを与える。
飛び散るビームと、灼けて溶け落ちた破片。
それらが市街地を逃げ惑うだけの脆弱な人間に与える甚大な被害。

そしてそれは、恋人たちを照らす美しい花火のような副次的な効果も。

情報源: GALLERY|『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』公式サイト

マン・ハンター

ミクロを描くことで成功しているのは、もうひとつ。

これまで地球連邦政府の圧政に関して、いくつも語られてきた。
しかし、それが、いまいち肌身にはピンと来なかった。

マン・ハンターのシーンが挿入されることで、その臨場感が一気に増す。

JEGAN GROUND TYPE-A(MAN HUNTER)
陸戦用ジェガンA型マン・ハンター仕様

地球連邦軍内で旧式となり払い下げられた地上仕様のジェガンA型をベースに、マン・ハンター仕様に改修した機体。市民への威圧が主目的である為、ビーム兵器などの対モビルスーツ兵装を取り払い、12.7mm対人用機銃で武装している。人間目線でもっとも目に止まる脚部のみリペイントしているのも抑止力の一つとなっている。

情報源: MECHA|『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』公式サイト

素手の人間を蹂躙するためだけの武器しか持たないモビルスーツ。
高みから、足元の人間にマシンガンの銃弾をばら撒く様は、説得力としては十分だ。

ジェガンよ、お前のそんな姿は見たくなかったぜ…

強い政府が、無抵抗な人々を蹂躙していく姿に臨場感を感じるのは、現実にそれがあるからだ。
東トルキスタンの人々を好きなようにしている国家が、ほら、そこにあるのだから…

この105年にもおよぶ宇宙世紀を振り返る動画も公開されている。

結局、ラプラス宣言くらいでは、世界は一ミリも変わらなかったんだね…

何人ものガンダムパイロットを見守ってきたブライト・ノア。
次に出現したガンダムパイロットが、まさか自分の息子だとは…

やはり結末は、あのようになってしまうのか。
それとも、違う結末が用意されるのか。

もうブライトの視点の方に親近感を覚える年齢の僕は、昔とは感じることもずいぶん違っているかもしれないね…

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