ベストゲームは、シーズン最後にやって来る。
NFLレギュラーシーズン最後の第18週 、ラスベガス・レイダースとロサンゼルス・チャージャーズの一戦をGAME OF THE YEARとNFLは言っている。
4th Downのパスを全て成功させたチャージャーズの怪物QBとレイダース守備陣のフロントとDBの獅子奮迅の激闘をNext Gen Statsが解説。
4th Downのパスを全て成功させたジャスティン・ハーバート
Justin Herbert generated +18.8 pass EPA on fourth down, the most in a game in the NGS era (since 2016).
Herbert on 4th Down (Week 18)
🔹 6/6, 106 yards, TD
🔹 +18.8 pass EPA
🔹 +40.5% CPOE#LACvsLV | #BoltUp pic.twitter.com/G9LJxpvTdf— Next Gen Stats (@NextGenStats) January 10, 2022
あらためて明らかになったのが、チャージャーズ QB ジャスティン・ハーバートの怪物ぶりだ。
彼は、失敗すれば敗戦確定という4th Downのパスを6本とも成功させてみせた。
AWSの機械学習が弾き出した成功の見込みはどれも低く、3%の確率しか見込めなかったものもある。
その結果、CPOEは+40.5%。
EPAは+18.8とNext Gen Stats史上最高の数字を叩き出した。
Justin Herbert & Josh Palmer (23-yd TD)
🔹 Target Separation: 0.5 yards
🔹 Completion Probability: 23.9%Herbert leads the NFL passing yards (638) and pass EPA (+14.5) on passes with less than a 25% completion probability since entering the league in 2020.#LACvsLV | #BoltUp pic.twitter.com/XusA8S6Squ
— Next Gen Stats (@NextGenStats) January 10, 2022
彼はただ肩が強いだけのQBではない。
8人で後ろをカバーするレイダースのディフェンスに対して、危なげないストライクをしっかりと決めてみせる。
試合終了とともに投じられたTDパスは、ダブルカバーのわずかな隙間。
1ゲームで狭いスペースに17回もパスを成功させたのは過去4年で最多のこと。
Justin Herbert & Mike Williams (12-yd TD)
🔹 Target Separation: 0.7 yards
🔹 Defenders in Coverage: 2
🔹 Completion Probability: 27.0%The pass was Herbert’s 17th tight window throw, the most in a game over the last four seasons.#LACvsLV | #BoltUp pic.twitter.com/WOVPbhySBY
— Next Gen Stats (@NextGenStats) January 10, 2022
さらに2ポイントコンバージョンでは、強烈なプレッシャーを浴びながら、5番目のターゲットを見つけて成功させるという冷静さも持ち合わせている。
AFC Defensive Player of the Weekに輝いたマックス・クロスビー
そんな怪物に伸び伸びとプレイさせてはたまらない。
ブリッツいらずのふたりのエッジを擁するレイダースフロントは、プレッシャーをかけ続け、4Qにはさらにギアを上げた。
Entering the fourth quarter, Maxx Crosby trailed Trey Hendrickson by 7 pressures for the season-lead.
Crosby generated 8 pressures in the fourth quarter, the most pressures in a fourth quarter since T.J. Watt had 9 against the Cowboys in Week 9, 2020.#LACvsLV | #RaiderNation pic.twitter.com/uM3uTTPxtV
— Next Gen Stats (@NextGenStats) January 10, 2022
その結果、マックス・クロスビーは第18週のAFC Defensive Player of the Weekに選出された。
NFLでブリッツ使用率が最小のレイダースには、ブリッツを仕掛けなくてもプレッシャーをかけられるフロントの存在がある。
その結果、パスカバーに7人以上割けることでより後ろを強化できる。
判断を迷ったQBに生まれるわずかな待ち時間がリリースを遅らせ、パスラッシャーにQBに到達するための時間を与える。
そんな好循環が生まれているように見える。
CB ブランドン・ファシソン
今シーズン、チャージャーズから移籍してきた4年目のCBは、大活躍だった。
OTの「どストライク」のサヨナラTDを防いだだけではない。
随所でシュアなカバーとタックルを見せ、ランプレイにはロスタックルまでお見舞いしてる。
Big plays in big moments.
Looking at Brandon Facyson’s impact during Sunday’s game that helped lead to a W. 💪 pic.twitter.com/vgQOFj1xie
— Las Vegas Raiders (@Raiders) January 11, 2022
レイダース守備陣のフロントとDBの獅子奮迅の活躍が、このゲームをモノにできた最大の要因と言っていいのだろう。
しかし、逆にいえばベストプレイを見せ続けるディフェンスに対してさえ、あのパフォーマンスを発揮したジャスティン・ハーバートの怪物ぶりも恐ろしいが…
RB ジョシュ・ジェイコブス
Josh Jacobs gained a career-high 130 of his 132 rushing yards after contact in the #Raiders 35-32 victory over the Chargers.
Jacobs has gained 2,364 rushing yards after contact since entering the league in 2019, the 6th-most in the NFL.#LACvsLV | #RaiderNation pic.twitter.com/0exHZEzVEd
— Next Gen Stats (@NextGenStats) January 10, 2022
レイダースのオフェンスのキーマンは、RB ジョシュ・ジェイコブスだろう。
ゴツゴツと人に強いラッシングをみせる彼は、このゲームで132ヤードを獲得。
そのうち130ヤードは、コンタクトの後に稼いだものだ。
彼の存在がなければ、レイダースはいいとこ引き分けで終わっていたのかもしれない。
いかにダニエル・カーソンを擁するとはいえ、彼が最後突き抜けてフィールドポジションを確保できなければ、FGが失敗に終わった可能性はある。
もっと言えばOTの間、彼がゴツゴツとボールを進めなければ負けていた可能性だってあるだろう。
最後はディフェンスとランニングゲームで勝つのだという、最近あまり耳にしなくなったことを強烈に思い出させてくれるゲームとなった。
せっかくの激闘、白黒がついてよかった。
引き分けであれば両チームが揃ってプレイオフに進める状況に、その選択肢も検討されたようだが、結果としての
引き分けとなし崩しの引き分けでは全く異質のものだ。
なし崩し的な引き分けを選択したものが、その後のプレイオフを勝ち上がっていけるわけがないではないか。
それにそうした結末は、せっかくの上質なゲームを台無しにしてしまうところだった。
もっともJust Win Babyの教えに逆らえば、あの世からきっちりと祟られることだろう。
そういえば、あちらのサイドラインもまた一段と賑やかになったようだ…