NFL プレイオフ史上、最多の対戦となるサンフランシスコ・フォーティーナイナーズとダラス・カウボーイズ。
グレートライバリーと表現するには、生臭い感情がまとわりついている。
拮抗した展開はビッグプレイの応酬を許さず、細かなミスが積み上がったチームがシーズン終了に追いやられることになった。
The Timeline: A Tale of Two Cities Full Show | The Cowboys & 49ers Battle for NFL Dominance | NFL
LB フレッド・ワーナー
展開は地味だったが、その中にはすごいプレイが隠れている。
このゲームで僕が最も驚いたのは、49ers LB フレッド・ワーナーのパスカバーだ。
On a pivotal 3rd down in the 3rd quarter, Fred Warner closed a 9.7-yard gap between he and CeeDee Lamb at snap to a tight window when the pass arrived (0.8 yards), forcing an incompletion.
Warner stayed within 2 mph of Lamb’s speed through the entire route.#DALvsSF | #FTTB pic.twitter.com/NYlT4nm1Nl
— Next Gen Stats (@NextGenStats) January 23, 2023
最終的にはタンパ2と呼ばれるカバーなんだろうが、スナップ時の彼がいるのはLOS。
そこから30ヤードも下がり、ディープミドルに走り込んだレシーバーをカバーしている。
しかも、SBの位置から走り込んできたのは、カウボーイズ WR シーディー・ラム。
以前、タンパ2のMLBは、いかにもなポジショニングをしていたはずだ。
LOSから、そのカバーを見せるLBを僕は見たことがない。
それとも、見落としているだけで、近頃はよくあることなのか?
このアライメントからタンパ2になることをプレスナップリードで読み取るQBは、存在するのだろうか?
以前、シカゴ・ベアーズの46ディフェンスは、マイク・シングレタリーというスーパーマンがいて、はじめて成立すると耳にしたことがある。
しかし、ここにもスーパーマンがいるということだ。
そして、このスーパーマンはAWSの機械学習が弾き出したパス成功率を30%近くも下回らせている。
さらにランニングプレイでも、予測値を大幅に下回らせている。
The 49ers have allowed -182 rushing yards over expected this season (incl. playoffs), their 2nd-straight season under -100.
The 49ers run defense will be tested in the NFC Championship against an Eagles offense that has gained +428 RYOE (7th).#SFvsPHI | #FTTB pic.twitter.com/GI1XNh3g7Y
— Next Gen Stats (@NextGenStats) January 25, 2023
こんなディフェンスを相手にしていたダック・プレスコットに、投げミスが多いなどと軽口を叩いてはいけないね。
レイ・レイ・マクラウドのリターン
情報源: Dallas Cowboys vs. San Francisco 49ers Game Images (Divisional Round)
拮抗した展開で重要になるのがスペシャルチーム、そしてフィールドポジションだ。
レイ・レイ・マクラウドのリターンは、予測値を29ヤードも上回る53ヤードのビッグリターン。
Ray-Ray McCloud (53-yard kick return)
🔹 Expected Return Yards: 24
🔹 Return Yards over Expected: +29
🔹 Expected Points Added: +1.8Brett Maher reached a top speed of 19.10 mph pursuing McCloud, the 3rd-fastest speed reached by a kicker this season.#DALvsSF | #FTTB pic.twitter.com/o0QWrqVzaJ
— Next Gen Stats (@NextGenStats) January 23, 2023
しかし、何よりそれが飛び出したタイミングが絶妙だった。
この直前、自陣エンドゾーン直前でパントリターンに出たレイ・レイ・マクラウドは、痛恨のファンブルフォースを喰らってしまった。
拮抗した展開では命取りになり得る痛恨のミス。
しかし、ディフェンスがFGに抑えると、飛び出したのが、このプレイだ。
そのゲームでやられたことは、そのゲームでやり返すしかない。
そう宣言したかのような、ハートの強さが感じられるプレイだった。
Mr. Relevant
これほど短期間でニックネームが変わった選手は、これまで存在しなかっただろう。
2文字軽くなったニックネームと反対に、チームでの重要性は、一気に増したブロック・パーディ。
Mr. Irrelevantだったルーキーは、今ではMr. Relevant!
Mr. Relevant’s time is now 😤@49ers | @brockpurdy13 pic.twitter.com/F1AWtrTmYS
— NFL Films (@NFLFilms) December 5, 2022
背番号と同じ第13週に途中出場を果たすと、あのGOATまで破ってしまった。
それに何より、その週以来、49ersは負けていない。
ものすごいビッグプレイを連発するわけではないが、彼は迂闊なプレイでボールを失うことはない。
あきらめる冷静さを兼ね備えている。
世間は早くもネクスト・ブレイディと騒ぎ始めているが、その冷静なプレイぶりを見ていると、僕もそのブームに乗っかってみたくなる。
Sometimes the read you never intended is one you needed.
Purdy and Kittle’s improbable connection deserves a closer look 👀 pic.twitter.com/WQa2UeskIM
— NFL Films (@NFLFilms) January 27, 2023
トム・ブレイディ自身も、ブロック・パーディにメッセージを送っている。
The GOAT showing the rook some love ❤️
(via @49ers) | #TBvsSF | @brockpurdy13 pic.twitter.com/vOr9BUqQU9
— NFL on Prime (@NFLonPrime) December 12, 2022
そして先輩のMr. Irrelevantへの挨拶も忘れてはいない。
Mr. Irrelevant respect 🤝 pic.twitter.com/gL02FjgRVR
— San Francisco 49ers (@49ers) December 12, 2022
そうして彼のパフォーマンスは数字にも表れている。
レギュラーシーズンのパサーレイティングは、堂々のTOP!
そしてPassing Scoreも上々だ。
彼が無茶投げをしなくても済むのは、YACに優れたチームメイトに囲まれているからだ。
トラビス・ケルシーほどタッチ数は多くないが、決定的な働きを見せる、ジョーカーを敬愛するTE ジョージ・キトル。
George Kittle gained a season-high +45 receiving yards over expected in the Divisional Round.
TE RecYOE Leaders (2022, incl. playoffs):
🥇 Kittle: +198
🥈 Dallas Goedert: +189
🥉 Travis Kelce: +184#DALvsSF | #FTTB pic.twitter.com/QeNEooK0Dv— Next Gen Stats (@NextGenStats) January 23, 2023
加えてディーボ・サミュエルもいたところに、クリスチャン・マカフリーまでやって来た!
The 49ers now have 3 of the top 5 players by YAC over expected since 2018 after acquiring Christian McCaffrey.
On Sunday, they will take on a Rams defense that has surrendered the 4th-most YAC over expected (+189) of any unit this season.#SFvsLAR | #FTTB pic.twitter.com/2dYK1dWd1Y
— Next Gen Stats (@NextGenStats) October 27, 2022
3人目の偉業
クリスチャン・マカフリーが49ersにやって来て、僕は、とってもしっくりくる感じがした。
いや、父親がプレイしていたからというわけではない。
Full circle for the McCaffrey’s and Shanahan’s.@87ed played for former 49ers OC Mike Shanahan, and @CMC_22 is playing for 49ers HC Kyle Shanahan. pic.twitter.com/qiEx496GBm
— NFL (@NFL) October 23, 2022
彼はラッシングとレシービングの両方で、それぞれ1000ヤード越えを達成したNFL史上3人目の選手。
Christian McCaffrey joins @marshallfaulk and Roger Craig as the only players to have 1,000+ rush yards and 1,000+ rec yards in a single season in NFL history!@CMC_22 | @Panthers | #KeepPounding pic.twitter.com/ny3vou8k6g
— NFL (@NFL) December 30, 2019
そしてそれを最初に達成したのは、あのロジャー・クレイグだ。
Roger Craig: The ORIGINAL All-Purpose Back! | Throwback Originals
ハイニーアクションの爆発的なランプレイも魅力的だったが、この頃の49ersは、トム・ラスマンも含めてRBがガンガン、パスを受けていた。
短くデリバリーしてランアフターキャッチでバリバリ稼ぐ。
そうしてウェストコースト・オフェンスを確立していったチームに、ランでもパスでもガンガン稼ぐクリスチャン・マカフリーが直系の後輩として入団するのが、とても自然に感じられたのだ。
いまだにウェストコースト・オフェンスというコンセプトが現役なのかどうかは、疎い僕にはわからない。
しかし、現在の49ersもYACを武器にしていることに違いはない。
ダブル1000ヤード越えを白人RBが記録する日が来るとは思わなかった。
何を今さらと言われるかもしれないが、ポジションごとのカラーバリアみたいなものって、もう本当になくなってしまったんだろうね。
それは、本当に喜ばしいことではある。
そうして49ersにやって来たクリスチャン・マカフリーは、またも3人目の偉業を達成することになる。
1試合でラン、レシーブ、そしてパスの3つのTDを記録することだ。
Christian McCaffrey makes history for the 49ers.#FTTB pic.twitter.com/xILEQIEsgW
— Sunday Night Football on NBC (@SNFonNBC) October 30, 2022
そして両方を記録したのは、クリスチャン・マカフリーだけだ。
こうしてみるとスーパーマンがいてジョーカーがいて、これはDCだ。
ジャスティス・リーグだ。
しかも本家にはいない、Mr. RelevantもCMCもいる。
本家のジャスティス・リーグは興行的にふるわなかったが、SF ジャスティス・リーグは、どんな結果に終わるのだろうか…
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